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中国
【石油・天然ガス】

エネルギーで強気に出る中央アジア諸国と対策を迫られる中国 (08/04/16)
2008/4/17
中国【石油・天然ガス】

カザフスタン政府は4月8日、原油輸出に対する課税の開始を当初予定していた2009年1月よりも8ヶ月も早め、1ヵ月後から開始すると発表した。カザフスタンのエネルギー政策転換と同様の強気な姿勢への変化を他の中央アジア諸国も示している。これら諸国とのエネルギー分野における協力をますます深めている中国は、速やかに対応策を講じることが求められている。

 カザフスタンの新たな石油輸出税はトン当たり109.91ドルと規定されているが、カザフスタン政府との間で事後立法による税関法規の制約を受けないとの条項に調印していた石油採掘会社は、原油輸出税課税の対象にはならない。そのため、2004年以前にカザフスタン側と契約し、上記の条項にも調印した上でカザフスタンの石油・天然ガスの探鉱と採掘に当たっている中国企業には、当面影響はない。

 しかし、カザフスタン政府には下半期に法律を再改定する動きもあり、外国投資家に対しても新たな法律を遵守するよう強要する可能性もある。もしそうした法律が発効した場合、カザフスタン政府は、事後立法による税関法規の制約を受けないとの条項に調印した外国石油企業と一対一の交渉を進めて、利益配分関係を変更する可能性もある。

 中国はカザフスタンの石油採掘量の中でも大きな割合を占めるとともに、カザフスタンからの石油パイプラインも運営している。トルクメニスタンやロシアから輸入する天然ガスや石油も、カザフスタンを通過しなければならない。そのため、中国は早めに対策を講じることが必要である。

 中国の企業が結ぶ長期契約が相手国の態度の変化に直面する可能性はカザフスタンに止まず、他の中央アジア諸国やロシアとの間でも生じる可能性がある。

 例えば、中国石油天然ガス集団(CNPC)は2004年にロシアと石油長期売買契約を結んだが、その後、国際油価の高騰が続いたため、ロシアは度々値上げを求めているだけでなく、価格交渉の難航が他の中露石油・天然ガス協力に影響する可能性も示唆している。

 また、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンは3月11日、中央アジアの天然ガスを欧州市場価格に準じて販売することを発表している。2008年の欧州の天然ガス価格は現在の370$/千m3から400$/千m3に上昇すると予想されており、将来CIS地域の天然ガス価格も300$/千m3前後に上昇する恐れがある。

 中国能源網CEOの韓暁平氏は、中央アジア諸国とロシアは契約遵守の面で問題があり、中国とそれら諸国とのエネルギー分野における協力にはリスクが避けられないと指摘しており、中国は相互牽制戦略を取り、他の分野において協力の主導権を握ることによってエネルギー分野におけるリスクを回避すべきであると提唱する。

 (中国能源網 4月16日)