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【石炭】

石炭化学工業の先行きは不透明 エネルギーの多元化が必要…周大地 (08/05/28)
2008/5/29
中国【石炭】

先日開催された第四回中国エネルギー戦略高層フォーラム・石炭産業サミットにおいて、中国エネルギー研究会副理事長の周大地氏は、石炭化学工業の先行きには依然大きな不確実性があり、大量の石炭に依存して石炭の液化やガス化を進めてはならないと指摘した。以下、周大地氏の指摘。

 先行きの不透明な石炭化学工業

 石炭をより清潔に、安全に、効率よく利用するため、石炭化学工業の呼び声がますます高まっているが、大量の石炭に依存して石炭の液化やガス化を進めることには問題も多い。長期的戦略の見地から言えば、大規模な石炭化学工業を進めることには極めて大きな不確実性が付きまとう。

 戦略的、長期的見地からすれば、中国には石炭化学工業を無制限に発展させるほどの石炭資源はない。むしろ石炭供給は不足気味であり、その半分は発電に使われ、鉄鋼や建材でも多く使用される。

 油価高騰の中で、石炭化学が石油に代替することは大きな流れになると見られている。それには、中国の石炭資源が豊かであり、中国の石炭化学工業はコスト面で優勢を占めているとの考え方が前提にある。政府は小規模な石炭化学事業を制限し、大型石炭集団企業が化学工業への参入するよう奨励して、石炭化学工業の大規模化を進めている。

 しかし、新型の石炭化学技術は未成熟であり、一定のリスクがある。大規模化を進めることで、投資が大きくなり、開発サイクルも長くなると、それだけ投資と生産面のリスクも高まる。こうした点からも、石炭化学工業の開発には比較的大きな不確実性が伴う。

 調整を要する資源構造

 この数年、中国のエネルギー消費の急拡大は主に石炭生産の拡大に依存してきた。しかし、エネルギー構造において石炭の占める比率が上昇すると、エネルギーや経済のセキュリティに対する圧力は強まる。石炭価格やエネルギー価格の上昇は、中国の消費者物価や生産者物価を押し上げる重要な要因になる。また、国内外からの環境圧力に直面する中で、中国は今後エネルギー開発の多元化を堅持して、石炭のみが大勢を占める構造を改めることが必要である。

 中国の石炭生産量は世界一で、埋蔵量も豊かである。今年の石炭生産量は少なくとも27.8億トンに達するだろう。しかし、長期的には、中国の合理的な生産能力は一般に考えられているほどには楽観することができない。技術面では、300万トン以上の大型炭鉱建設に適した資源条件を有する地区は少ない。そうした地区の生産量と資源を合計しても10億トン足らずである。先進的で効率の高い炭鉱の建設に適した生産能力は恐らく20億トンにもならない。これに対し、国内の小炭鉱はなお3分の1を占めており、これら小炭鉱を先進的、高効率の炭鉱に変えるのは容易なことではない。その上、水資源の制約も受ける。こうした点を総合的に考慮すると、中国では、石炭年産25億トンが理に適った生産量になる。

 (中国証券報 5月28日)