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ロシア、ESPOパイプライン建設を加速 背景には外交的影響力拡大の企図 パイプライン建設コストの低下も (08/12/19)
2008/12/19
その他地域のエネルギー

 ロシアのメディアは、ロシアがESPOパイプライン建設を加速させ、出来る限り早期にアジア太平洋諸国並びに米国への石油供給を実現するよう検討していると報じた。同パイプライン計画の実施によって、ロシアはエネルギー分野においてアジア・太平洋地域、さらには米欧地域に対する影響力を拡大することになる。

 ロシアの指導者はこれまで度々米国とのエネルギー協力の強化を呼びかけていたが、米国側は冷淡であった。米国はロシアとのエネルギー協力によってロシアの経済復興が早まり米国の覇権に挑戦することを懸念している。こうした状況を変えるため、ロシアは石油・天然ガスパイプライン計画を次第に加速させてきた。ESPOパイプライン計画は当初の単純な経済的意味をはるかに超え、アジア太平洋地域、延いては米欧地域にロシアが影響を及ぼす極めて重要なカードになる。

 エネルギー大国であるロシアはここ数年、エネルギー輸出によって経済の急成長を実現するとともに、世界のエネルギーが売り手市場となる中で、エネルギーを外交政策の道具とし、エネルギー外交によって大国の復興を図ってきた。しかし、このところの石油価格の急落、ロシアの景気不振で、ロシアの経済と外交は壁に突き当たっている。

ロシアは最近、石油価格安定化のため、OPECとの協調の動きを強めている。エネルギー担当副首相セーチンは17日、石油会社とOPECの共同努力により、ESPO(東シベリア−太平洋)パイプライン第2期工事が2011年末か2012年初めに着工されるまでに石油価格が安定するよう希望すると述べた。

 一方、セーチンは、石油輸出の減少は厳しい問題であるとしながらも、パイプライン資材価格低下などのメリットもあると指摘した。トランスネフチESPOパイプライン第2期プロジェクト管理センターのセルギエフ部長も、第2期の工費は2006年価格で3,200〜3,300億ルーブルになるが、当面の国際石油価格や各種資材、原料価格の全体的な下落によってESPOパイプライン建設コストはさらに下がるだろうと表明した。

 (中国油気管道網 12月18・19日)