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中国
【新エネルギー】

【論説】バイオマスエネルギー 中国の特色ある開発の道を模索せよ (09/03/31)
2009/4/2
中国【新エネルギー】

 先頃広西自治区において、中国とスウェーデンの専門家数十名によりバイオマスエネルギー開発に関するシンポジウムが開かれた。

 広西自治区は豊かなキャッサバとソフトバイオマス資源を有している。昨年4月から、広西自治区に属する全14市はキャッサバ由来のエタノールガソリンの販売、使用を開始した。

 エネルギー供給のタイト化や環境保護圧力の増大など問題がますます深刻になる中、世界各国においてバイオマスエネルギーの開発は、こうした難題を解決する重要な方法と見なされている。中国工程院の杜祥●副院長は、バイオ資源を利用して代替液体燃料を生産することは問題解決のための極めて現実的な方法であり、中国のバイオマスエネルギー開発の中で最も重要な分野になると指摘する。

 2001年、古くなった穀物を原料とするエタノール工場が吉林、安徽、河南等に建設され、その後、エタノール燃料開発支援のための法規や政策が打ち出されるに及んで、多くの企業が積極的な対応を示すようになった。

 然るに、ここ数年、トウモロコシを主要原料とするエタノール燃料の生産が急増したが、その一方で穀物価格、生産コストの高騰や、食糧セキュリティなど潜在的な問題が大きくなり、政府指導層は懸念を強めることになった。そのため、人口が多く土地が少なく食糧自給バランスの面で脆弱な中国の国情に鑑み、「人と穀物を争わず、穀物と土地を争わない」という原則が打ち出された。

 中国はすでに穀物由来のエタノール燃料事業を認可しないよう決定しており、その代わりにキャッサバ、サトウキビ、ソフトバイオマス(わら・茎)など非穀物原料によるエタノール燃料生産を奨励するようになった。2007年末には、中粮集団の出資による年産20万トンのエタノールプロジェクトが広西自治区の北海市で操業を開始した。これは中国で初めて操業を開始した非穀物系エタノール事業に当たる。

 一方中国のバイオディーゼル年産能力は2007年末時点で300万トンを超えており、さらに建設中の大規模バイオディーゼル事業は累計300万トンに上る。中国の多くの地方は、現地のそれぞれの特色に応じ、痩せた土地を利用して、オウレンボク、ブンカンカなど生命力が強くバイオディーゼルの原料になる植物を栽培している。そうすることで、バイオディーゼルの高コストや原料不足等の問題解決を図っているのである。

 将来的な展望について言えば、中国のバイオ資源が豊かであることは間違いないが、技術上の打開がボトルネックになるだろう。そのため、キャッサバやサトウキビを原料とするエタノール生産を継続すると同時に、セルロース系エタノール開発に対する支援措置も必要である。また、廃液や残渣の処理という難題で打開を実現出来れば、年間数十億トンのソフトバイオマス資源が中国のエタノール開発に十分な原料を提供するだろう。

 (新華網 3月31日)

 ●…王へんに「宛」