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【エネルギー全般・政治経済】

【論説】インドは中国が中央アジアの主役になることに懸念 (07/10/09)
2007/10/9
アジア【エネルギー全般・政治経済】

 DPA(ドイツ通信社)の10月8日付報道によると、中国と中央アジアの貿易が激増し、中国が中央アジアのエネルギーやインフラに巨額投資を進めている中、インドは中国が中央アジアの主役になることを憂慮している。

 インドは早くから中央アジアを「裏庭」と見なし、1991年のソ連解体以降、同地区において主導力を発揮することを一貫して望んでいた。インドは友好条約や歴史的及び文化的連携により、モスクワと密接な関係を維持し、カザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンやタジキスタンなどの衛星国とも特殊なパイプを有していた。

 しかし、この数年、インドは中国の後塵を拝している。ジャワハルラル・ネルー大学で中央アジアを研究しているK・ワリク教授は、政策の策定や施行、プロジェクトの実施の面で中国の各レベルの共同作業はほぼ完璧であるが、一方、インドの政府と企業は、中央アジアに対する統一政策が欠如していると指摘する。

 中国と中央アジア5ヵ国の貿易額は、1997年はわずか8.5億ドルであったが、2006年には130億ドル余りに増加した。また、中国の投資は従来のエネルギーから、今では銀行、水力発電、鉄道その他の輸送インフラに転換しており、中国が中央アジア諸国の経済の需要に適応するよう努力していることが伺える。中国は壮大な計画を立案しており、今後10年間で中央アジアとの貿易額を50%増やすことになる。

 これに対し、インドの貿易は取るに足らないものであり、中央アジアの貿易パートナー上位15位にすら入っていない。2006年の中央アジア諸国との貿易額はようやく4億ドルになったに過ぎず、うちカザフスタンとの貿易が2.1億ドルを締めている。また、インドの中央アジアに対する投資は少なく、紡績が中心であり、他は一部企業が酒造工場、製薬工場の経営や建設事業の請負を行っているだけである.

 中央アジアのエネルギー分野でインドが有しているのは、カザフスタンの2ヵ所の油田の株式とウズベキスタンの天然ガス探鉱権のみである。インドは30億ドルを投じて、トルクメニスタン、アフガン、パキスタンを経由する石油・天然ガスパイプラインを敷設することを計画している。また、中央アジア諸国と南アジアを一体化した地域電力網の建設も計画しているが、いずれも未だ完成していない。

 ワリク教授によると、中央アジアにおける中国の影響力をインドにとって重大な懸念材料である。

 専門家は、インドは新しい戦略を策定し、これまでの中央アジア諸国との良好な関係を基礎として善隣政策を進めることが求められると主張している。

 インド国防問題研究所のミーナ・ルイ氏は、「インドはエネルギー開発だけでなく、伝統的分野への投資も進め、中央アジア諸国の工業の復興を援助し、現地企業の株式を取得して、現地企業が下請け業務に従事するよう推奨すべきである。インドが中央アジアにおいて演じる役割はアジア地区というより広い範囲で演じる役割から乖離してはならない」と述べている。

 (新華網 10月9日)