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熾烈を極めるカスピ海の資源争奪戦 (07/10/28)
2007/11/22
その他地域のエネルギー

 世界最大の内陸海(湖)とされるカスピ海であるが、果たして海なのか湖なのか未だに結論が出ていない。エネルギー争奪戦が激化する中、この論争も最早純粋な地理学上の問題ではなく、政治の色彩と経済利害を帯びている。もし、カスピ海は湖なら、周辺国には外国企業の石油探鉱を許可する義務はない。もし海なら、外国企業は国際条約を援用して石油探鉱権を獲得することが出来る。

 豊かな石油資源を埋蔵するカスピ海の地位をめぐっては、1991年のソ連解体以来、ロシア、米国、イラン等の諸国が論争を続けてきた。ここ数年、米国は新しいエネルギーパイプラインの確立を図り、ロシアとイランの独占を崩そうとしている。米国の目的はこの地区における影響力を強化して、最終的にはロシアやイランを経由しないエネルギー輸送ルートを建設することにある。一方、ロシアはカスピ海航行権の獲得しようとしてきた。

 1週間前、プーチンはイランの首都テヘランを訪問、イラン大統領アフマディネジャードと会談した。この時の会談は対イラン制裁に重点を置いていたかのようであったが、実際にはプーチンがアフマディネジャードや中央アジア3ヶ国首脳と会談した目的はカスピ海の権益であった。テヘランサミットの真の課題は将来のカスピ海の地位であり、イランもロシアもこの問題の解決を願っていたが、両者の隔たりは依然極めて大きかった。

 イランとロシア以外にも、アゼルバイジャン、カザフスタンやトルクメニスタンもカスピ海に面している。これら3国もやはりカスピ海資源の獲得を狙っており、またカスピ海航路の利用も望んでいる。しかし、カスピ海の地位をめぐっては合意に達することが出来ない。

 歴史的にはイランとロシアはカスピ海が湖であることに同意し、カスピ海の権益は均分としてきた。1991年のソ連解体後も、イランとロシアは1921年及び1940年の協定に基づいて引き続きカスピ海の権益を均分することにした。アゼルバイジャン、カザフスタン、トルクメニスタンももともとソ連時代に結ばれた協定を遵守することで合意していた。

 しかし、1998年になってアゼルバイジャンが、カスピ海は湖であるからには、周辺5ヵ国が沿岸線の長短に応じて5分割すべきであると言い出した。もしアゼルバイジャンの言う通りに分割した場合、イランとロシアの権益は減少することになる。

 プーチンは1998年に大統領に当選すると、膠着した状況の打開に努め、ロシアは結局アゼルバイジャン及びカザフスタンとのカスピ海権益分割協定に調印した。しかし、ロシアは米国が漁夫の利を得ることを制止できなかった。米国は2005年、バクー−ドビリシ−ジェイハンパイプラインの建設を支持し、中央アジアの石油をアゼルバイジャンからグルジア、トルコを経由して欧州に輸出出来るようにした。最早イランとロシアを経由する必要はなくなったのである。

 米国はカスピ海の海底パイプライン建設も支持している。このパイプラインによってトルクメニスタンの天然ガスをアゼルバイジャン経由で欧州に輸送することが出来る。米国にとっては、欧州のロシアに対する依存を減らし、イランを孤立させることも出来る。

 しかし、ロシアエネルギー政策大学のミロノフ学長は、カスピ海海底パイプラインの実現は難しいと指摘する。今月中旬のカスピ海諸国サミットではいかなる打開も達成できなかった。5ヵ国の首脳は来年アゼルバイジャンで開会して協議を続けることで合意しただけである。サミットは結局カスピ海におけるロシアの影響力を再確認したようだ。

 (聯合早報網 10月28日)