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中国
【新エネルギー】

第12次5ヵ年規画期におけるバイオエネルギー技術の重点方向が確定 (11/12/15)
2011/12/22
中国【新エネルギー】

 科学技術部は先日《第12次5ヵ年バイオ技術発展規画》を公布して、第12次5ヵ年規画期におけるバイオエネルギー技術の主要方向性を明確にした。すなわち、非穀物系バイオエタノールやバイオディーゼル等のバイオエネルギー製品に関連するコア技術及び専用設備を開発すること、微藻類生物による炭素固定のコア技術を研究開発すること、炭素固定総量1万トン超の工業化モデルシステムを建設すること、微藻類炭素固定の産業化を世界に先駆けて実現することである。

 高等バイオエネルギー形式が重要科学研究対象に

 同規画案は、「非穀物系バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオガス、バイオ系酸素製造などバイオエネルギー製品製造過程の共通コア技術並びに専用設備の研究開発を進め、工業と都市生活の廃棄物を原料として、バイオエネルギー製品の量産技術モデルを確立する」としている。

 なお、これまで重要なバイオエネルギー利用形式とされてきたバイオマス発電は、第12次5ヵ年規画期における技術開発重点対象とはされていない。この点について、業界の専門家は、農作物のくずわら等の生長は複雑なプロセスであり、これにより高分子化合物を合成することができ、バイオ発電の燃料として直接焼却することは資源浪費の一種であると指摘する。

 また、同専門家によると、中国は毎年巨費を投じて石油や天然ガス等のエネルギーを購入しているので、非穀物系エタノール、バイオディーゼルやバイオガス等の高等バイオエネルギーは今後重点的に発展を進める技術的方向性になる。科学技術部が上述の技術分野を第12次5ヵ年規画期の重点研究開発技術とした所以である。

 中国再生可能エネルギー学会バイオマスエネルギー専門委員会の袁振宏事務局長の見方では、今回の規画案には欠けている部分もある、例えば、バイオエネルギー原料の面では、「工業と都市生活の廃棄物を原料として、バイオエネルギー製品の量産技術モデルを確立する」ことを提唱しているに過ぎない。袁振宏事務局長は、バイオエネルギーの原材料として、「工業と都市生活の廃棄物」以外にも、エネルギー作物の栽培を盛り込んでも良いと指摘する。

 《第12次5ヵ年バイオ技術発展規画》案は、複数の投資ルートの仕組みを確立し、財政・租税・金融等の政策支援を強化し、バイオメディカル、バイオ農業、バイオマニファクチャー、バイオエネルギー、バイオ環境保護等の産業の急速な台頭を推進すると指摘している。

 「この規画によって、バイオエネルギー技術分野に社会資本を導入し、科学研究機関、大学、研究所及び企業が関連技術の研究開発に参加するよう促すことが出来る。その結果、産業化プロセスを加速させ、バイオエネルギー産業の発展を推進する巨大な動力になる」と袁振宏は言う。

 世界に先駆けて微藻類炭素固定の産業化を実現

 《第12次5ヵ年バイオ技術発展規画》案は、第12次5ヵ年規画期に微藻類バイオ炭素固定のコア技術の研究開発を進め、世界に先駆けて微藻類炭素固定の産業化を実現すると指摘している。

 微藻類炭素固定技術は近年出現した新興バイオエネルギー技術であり、中国のCO2削減の主要な手段として、またバイオディーゼルの主要な構成要素として、ポテンシャルを有している。

 中国の砂漠面積は約130万平方キロに上り、もしその5%(6.4万平方キロ)を利用して微藻類を養殖すると、16億トンの炭素固定が可能になる。これは中国のCO2排出量の27%になる。また、それによって約10億トンのバイオディーゼルを生産すると、中国全体のバイオエネルギー利用総量の50%以上を占めることになる。「微藻類バイオエネルギーは再生可能エネルギーの一種であり、ジェット燃料や高品質ディーゼル油を続々と生産することができ、中国の航空や軍事などの重要分野に当てて、国のエネルギーセキュリティを確保することになる」と、新奥集団バイオマスエネルギー技術センターの劉敏勝所長は指摘する。

 実際、中国の微藻類バイオ炭素固定技術は基本的に外国と同じ水準にある。新奥集団を筆頭とする中国企業は同技術の産業化ではややリードしているほどである。

 劉敏勝所長の説明によると、新奥集団はすでにオルドス達拉特旗の砂漠にある新奥石炭系低炭素循環経済産業基地において、低炭素技術微藻類化学モデルプロジェクトを建設している。

 また、新奥集団は微藻類の品種、養殖の技術やリアクターの設計・製造、微藻類の回収及び処理技術において多くの技術的打開を遂げており、国内外で70件余りの特許を取得している。新奥が中心になって実施した国家「863」計画の「CO2−油藻類−バイオディーゼルコア技術開発」プロジェクトはすでに完了した。劉敏勝所長の見方によると、中国の技術水準は外国に匹敵し、技術の低コスト化や高速産業化の面では優越している。それゆえ、《第12次5ヵ年バイオ技術発展規画》が打ち出した「世界に先駆けて産業化を実現する」という目標も達成できる可能性が極めて高い。

 産業化実現のスケジュールについては、劉敏勝所長によると、新奥は科学技術部の支援の下に全国の科学研究の力量と産業化の力量を結集して、微藻類バイオ炭素固定技術の速やかな産業化を実現することを希望している。「新奥は2013〜2014年初頭に微藻類炭素固定産業化モデル基地を完成させることになる」と、劉敏勝所長は述べた。

 (中国能源報 12月15日)