中国はエネルギー発展第12次5ヵ年規画に基づき、エネルギー消費総量と強度に対して「二重規制」を実施する。具体的な規制目標を地方に分担させ、その実施状況を各地の業績評価に盛り込む。専門家の分析によると、エネルギー消費規制はすでに中国の経済発展方式の転換を迫る「突破口」になっており、省資源型・環境配慮型社会の建設を促進することになろう。 「二重規制」によって経済発展方式の転換を迫る エネルギー発展第12次5ヵ年規画(以下、規画とする)は、2015年の全国エネルギー消費総量を40億tce(標準炭換算トン)、電力使用量を6.15兆kWhに規制し、GDP当たりのエネルギー消費を2010年比で16%引き下げ、エネルギー総合効率を38%に高めることを打ち出している。 2010年の中国の一次エネルギー消費総量は32.5億tceであり、2015年に40億tceに抑えようとするなら、今後5年のエネルギー消費の年平均伸び率を4.3%前後に抑えなければならない。 「エネルギー消費総量規制を経済発展方式転換の手段とツールにしなければならない。さもないと、規制目標の実現は極めて難しくなる」と、国家発展改革委員会エネルギー研究所の高世憲研究員は言う。 規画は、エネルギーと電力消費総量を各省・自治区・直轄市に分担させ、省クラス政府に実施の責務を負わせる上で、各地の経済社会発展水準、ロケーションや資源特性等の要素を総合的に考慮するとしている。エネルギー消費総量規制目標を各地の経済社会発展の総合評価システムに盛り込み、定期報告制度を実施する。 アモイ大学エネルギー経済研究センターの林伯強主任の指摘によると、エネルギー総量規制は各省に対し、エネルギー消費量を規制し、場合によっては減らすよう求めることになるが、これは地方経済の成長にとっては足枷になる。地方政府は経済発展に対する懸念から、エネルギー総量規制目標の分担をめぐって細部にまでこだわって抵抗する可能性がある。そのため各地の状況に応じて地方の目標を合理的に分配しなければならない。 効率化とクリーン化が構造調整の方向に 現在の中国のエネルギー構造は石炭が中心であり、開発利用方式は粗放であり、資源と環境に対する圧力が大きい。一方、国際的に気候変動対応の圧力が日々強まる中、経済発展方式の転換とエネルギー消費構造の調整は差し迫った課題になっている。 規画は第12次5ヵ年規画期における中国の各主要エネルギーの発展の道筋を描いており、安全で効率的な石炭開発、在来型石油ガス探査開発の加速、非在来型天然ガス資源開発への注力、水力発電の積極的で秩序ある発展、原子力発電の安全かつ効率的な発展、風力発電等の再生可能エネルギーの発展加速を打ち出している。 規画は、2015年には中国の非化石エネルギーのシェアを11.4%に高めること、一次エネルギー消費に占める天然ガスのシェアを7.5%に高めること、石炭のシェアを65%前後に引き下げることを打ち出している。また、炭層ガスやシェールガスなど非在来型石油ガス資源開発の技術上のボトルネックを打破するとしている。 中国石油大学中国エネルギー戦略研究院の王震常務副院長は、在来の化石エネルギーの中で石炭の開発ポテンシャルは極めて大きいが、効率的でクリーンな応用が必要であると指摘する。また、石油価格高騰を背景に中国の非在来型ガス資源の成長のポテンシャルは大きく、発展に力を入れなければならない。但し、第12次5ヵ年規画期に非在来型ガス消費のシェアが大きくなるとは期待できず、プロセスを踏む必要がある。 市場化改革の方向性を堅持 規画は、競争的事業と非競争的事業を科学的に線引きし、有効な競争を実現できる事業には市場競争のメカニズムを取り入れて市場競争の主体を積極的に育成し、自然独占の事業については、監督管理を強化し、公平な連系や普遍的なサービスを確保することを打ち出している。 王震氏の指摘によると、中国のエネルギーの体制とメカニズムの改革に当たって、大きい方向性が市場化であることは極めて明確である。但し、エネルギー供給は民生に関わるため、供給確保を前提にしながら、市場化に向けて一歩ずつ推進しなければならない。 規画は、現代的な電力市場システムの確立、石炭流通体制改革の深化、原油と石油製品輸入管理体制改革の検討と推進など、センシティブなテーマにも言及するとともに、電力価格メカニズムの合理化や石油製品価格の市場化改革の深化や天然ガス価格改革の推進も含めて、エネルギー価格メカニズムの完備を打ち出している。 高世憲氏は、中国のエネルギー分野の市場化は国民経済の市場化に比べて依然遅れを取っていると言う。エネルギーは民生と密接な関係があり、また利益集団にも複雑に関わるため、改革の推進には比較的大きな困難を伴う。第12次5ヵ年規画の初期に中国は天然ガスと発電用石炭価格の市場化改革に乗り出した。現実には極めて多くの問題が付きまとうが、エネルギー体制改革は、方向性をしっかり定めて、徐々に推進しなければならない。 (新華社 1月25日)
中国はエネルギー発展第12次5ヵ年規画に基づき、エネルギー消費総量と強度に対して「二重規制」を実施する。具体的な規制目標を地方に分担させ、その実施状況を各地の業績評価に盛り込む。専門家の分析によると、エネルギー消費規制はすでに中国の経済発展方式の転換を迫る「突破口」になっており、省資源型・環境配慮型社会の建設を促進することになろう。
「二重規制」によって経済発展方式の転換を迫る
エネルギー発展第12次5ヵ年規画(以下、規画とする)は、2015年の全国エネルギー消費総量を40億tce(標準炭換算トン)、電力使用量を6.15兆kWhに規制し、GDP当たりのエネルギー消費を2010年比で16%引き下げ、エネルギー総合効率を38%に高めることを打ち出している。
2010年の中国の一次エネルギー消費総量は32.5億tceであり、2015年に40億tceに抑えようとするなら、今後5年のエネルギー消費の年平均伸び率を4.3%前後に抑えなければならない。
「エネルギー消費総量規制を経済発展方式転換の手段とツールにしなければならない。さもないと、規制目標の実現は極めて難しくなる」と、国家発展改革委員会エネルギー研究所の高世憲研究員は言う。
規画は、エネルギーと電力消費総量を各省・自治区・直轄市に分担させ、省クラス政府に実施の責務を負わせる上で、各地の経済社会発展水準、ロケーションや資源特性等の要素を総合的に考慮するとしている。エネルギー消費総量規制目標を各地の経済社会発展の総合評価システムに盛り込み、定期報告制度を実施する。
アモイ大学エネルギー経済研究センターの林伯強主任の指摘によると、エネルギー総量規制は各省に対し、エネルギー消費量を規制し、場合によっては減らすよう求めることになるが、これは地方経済の成長にとっては足枷になる。地方政府は経済発展に対する懸念から、エネルギー総量規制目標の分担をめぐって細部にまでこだわって抵抗する可能性がある。そのため各地の状況に応じて地方の目標を合理的に分配しなければならない。
効率化とクリーン化が構造調整の方向に
現在の中国のエネルギー構造は石炭が中心であり、開発利用方式は粗放であり、資源と環境に対する圧力が大きい。一方、国際的に気候変動対応の圧力が日々強まる中、経済発展方式の転換とエネルギー消費構造の調整は差し迫った課題になっている。
規画は第12次5ヵ年規画期における中国の各主要エネルギーの発展の道筋を描いており、安全で効率的な石炭開発、在来型石油ガス探査開発の加速、非在来型天然ガス資源開発への注力、水力発電の積極的で秩序ある発展、原子力発電の安全かつ効率的な発展、風力発電等の再生可能エネルギーの発展加速を打ち出している。
規画は、2015年には中国の非化石エネルギーのシェアを11.4%に高めること、一次エネルギー消費に占める天然ガスのシェアを7.5%に高めること、石炭のシェアを65%前後に引き下げることを打ち出している。また、炭層ガスやシェールガスなど非在来型石油ガス資源開発の技術上のボトルネックを打破するとしている。
中国石油大学中国エネルギー戦略研究院の王震常務副院長は、在来の化石エネルギーの中で石炭の開発ポテンシャルは極めて大きいが、効率的でクリーンな応用が必要であると指摘する。また、石油価格高騰を背景に中国の非在来型ガス資源の成長のポテンシャルは大きく、発展に力を入れなければならない。但し、第12次5ヵ年規画期に非在来型ガス消費のシェアが大きくなるとは期待できず、プロセスを踏む必要がある。
市場化改革の方向性を堅持
規画は、競争的事業と非競争的事業を科学的に線引きし、有効な競争を実現できる事業には市場競争のメカニズムを取り入れて市場競争の主体を積極的に育成し、自然独占の事業については、監督管理を強化し、公平な連系や普遍的なサービスを確保することを打ち出している。
王震氏の指摘によると、中国のエネルギーの体制とメカニズムの改革に当たって、大きい方向性が市場化であることは極めて明確である。但し、エネルギー供給は民生に関わるため、供給確保を前提にしながら、市場化に向けて一歩ずつ推進しなければならない。
規画は、現代的な電力市場システムの確立、石炭流通体制改革の深化、原油と石油製品輸入管理体制改革の検討と推進など、センシティブなテーマにも言及するとともに、電力価格メカニズムの合理化や石油製品価格の市場化改革の深化や天然ガス価格改革の推進も含めて、エネルギー価格メカニズムの完備を打ち出している。
高世憲氏は、中国のエネルギー分野の市場化は国民経済の市場化に比べて依然遅れを取っていると言う。エネルギーは民生と密接な関係があり、また利益集団にも複雑に関わるため、改革の推進には比較的大きな困難を伴う。第12次5ヵ年規画の初期に中国は天然ガスと発電用石炭価格の市場化改革に乗り出した。現実には極めて多くの問題が付きまとうが、エネルギー体制改革は、方向性をしっかり定めて、徐々に推進しなければならない。
(新華社 1月25日)