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【石炭】

中国国家発展改革委員会が「石炭市場の安定」に向け5つの制度 (16/12/05)
2016/12/5
中国【石炭】

 12月1〜3日に秦皇島で開かれた2017年度全国石炭交易会では「脱生産能力」が最も頻出するワードになった。国家発展改革委員会の連維良副主任は、脱生産能力の継続は断固不変であると指摘しつつ、政府は所要の措置を講じて、脱生産能力のペース、部署及び力の入れ具合を科学的に把握して、石炭価格を合理的な範囲に安定させるとした。

 一方、発展改革委員会は「脱生産能力」期間における石炭市場の健全な発展を制度面で保障するため、次の5つの制度を部署すると発表した。

 (1) 276日作業日数による生産能力備蓄制度

 2016年初頭以来、全国の炭鉱は年間276日の作業日数を基準に生産能力を改めて確定することになり、原則として法定祝祭日と日曜日は生産を行わないことにした。しかし、市場に段階的な供給不足が生じた場合、発展改革委員会は条件に適合する炭鉱が276〜330日の範囲で増産を行うことを許可することで供給を保証するとした。

 「石炭産業は基幹産業であり、投資が大きく、サイクルが長い。生産能力は一定の弾力性を維持することが必要だ。さもないと、需要が増えてから炭鉱の投資建設を行っても、需要を賄うには遅すぎることになる」と連維良副主任は指摘し、「276日と330日では生産能力に約6億トンの違いが出る。これは生産能力の備蓄に相当し、石炭生産能力の一定の弾力性を維持し、市場の需給の変化に応じて直ちに供給を調整することが可能になる」とした。

 最近、需要家の在庫補充、冬季の暖房用石炭需要、投機行為など種々の要因が重なり、石炭価格に段階的な急騰が発生している。発展改革委員会は9月末、条件に適合する炭鉱に対し276〜330日の間で生産能力を動員して増産することを許可し、11月には先進生産能力の増産期間を暖房期間の終了まで延長すると発表した。

 (2) 減量置換と指標取引制度

 国の脱生産能力に関する規定によると、2016年間から3年間は新規炭鉱建設事業、生産能力を増やす技術改修事業及び生産能力の追加査定事業の許認可を停止する。炭鉱の新規建設がどうしても必要な場合は、一律に減量置換を適用する。

 連維良副主任は次のように表明した。石炭の総生産能力を厳重に規制するからと言って、構造調整や産業のグレードアップが不要になるということではない。減量置換と指標取引制度は総量が増加しないよう確保することを前提に、構造の最適化と産業のグレードアップを推進する重要な措置であり、正に先進的生産能力をもって老朽化生産能力に取って代わらせる実行可能な方法である。この方法によって、生産生産能力に発展空間を与えると同時に、老朽化生産能力の退出に向けて妥当な補償を提供することになり、老朽化生産能力から先進生産能力への転換を真の意味で市場化の方法によって実現することが出来る。

 (3) 中長期契約制度

 コモディティ取引において中長期契約を採用することは国際的にも通用しているやり方である。以前、中国の石炭企業は需要家と中長期契約を結んでいたが、「量は決めるが価格は決めない」ことや応分の拘束の仕組みを欠いていたため、市場価格に変動が生じた場合、契約を厳正に履行することが極めて難しかった。

 然るに、今年の中長期契約は「量と価格をともに決める」形になり、資源の数量を確定するだけでなく、基準価格に変動の仕組みを加えた機敏な価格決定方式を採用している。その中で基準価格と変動幅は石炭需給企業の協議によって決定する。市場経済のルールを十分に体現し、企業の市場主体としての地位を尊重するものである。

 中長期契約の履行率を高めるため、関係政府部門は関連する制度的部署も行っている。11月30日、国家発展改革委員会と国有資産監督管理委員会は連名で《市場監督管理並びに公共サービスの強化と石炭中長期契約履行の保障に関する意見》を通達し、中長期契約を締結しかつ誠実に履行する企業に対し、資源と輸送力の優先的保障、先進的生産能力の増産計画の優先割当、同等の条件の下での市場への優先的参加など、政策傾斜を適用することにした。さらに、主体信用建設を強化し、信用保持企業に対するインセンティブと信用喪失企業に対する懲戒を実施する。

 全国石炭交易会の会期中には、兗鉱、陝煤化、龍煤、伊泰、開灤、冀中能源、淮南鉱業、平煤、陽泉、楡林能源、晋能、潞安鉱業の12社が電力、鉄鋼など主要需要家と中長期契約を締結した。これより先、山西焦煤集団は鉄鋼集団大手6社と原料炭の中長期契約を締結し、神華と中煤能源も5大電力集団と一般炭の中長期契約に調印していた。

 (4)最低在庫と最高在庫制度

 連維良副主任は次のように表明した。供給側構造改革をめぐっては、発展改革委員会は現在重要商品供給に関する基礎的制度を確立しているところである。すなわち、最低在庫と最高在庫を内容とする企業社会責任備蓄制度である。最低在庫を規定するのは、石炭供給が過剰になり、価格が下落した際に、石炭需要家が在庫を大幅に下げることでコストを減らし、その結果、需要が歪み、変動リスクが増えることを防ぐためである。一方、最高在庫を規定するのは、石炭の供給が需要に追い付かず、価格が上昇した時に、生産・供給・需要の各サイド、特に中間プロセスの買い占めによって供給が逼迫することを防止するためである。例えば、発電所の石炭在庫は15日以上という合理的な水準に達することが必要であり、15日分というのが最低在庫になるが、30日以上の水準よりも高くする必要はなく、30日分が最高在庫になる。今後、この制度を強化し明確化するとともに、規範的に実施しなければならない。

 (5) 価格の異常な変動を平淡化する長期的な仕組み

 連維良副主任は次のように表明した。石炭価格の異常な変動に対して協調的に対応することは、政府と社会、そして企業が産業の健全な発展を共同で促進する市場化、法治化の革新的な模索になる。石炭価格を合理的な範囲に落ち着くよう促進し、異常な変動の発生を回避することは、石炭及び下流の関連産業の共通利益と長期的利益に合致し、経済の平穏な運営のための本質的な要請でもある。

 連維良副主任が明かにしたところによると、発展改革委員会は最近の対策の実践とも合わせて、中国煤炭工業協会、中国電力企業聯合会、一部の重点石炭供給企業並びに石炭使用企業が石炭市場価格の異常な変動を抑える長期的な仕組みを模索し確立するよう積極的に唱導し、推進を図る。次の一手としては、重点石炭生産企業と使用企業が覚書に調印することで承諾と措置の確定を行うとともに、共同で実施に移すよう誘導する。

 最後に連維良副主任は次のように表明した。上掲の5つの制度は相互に、有機的に連携する統一的なまとまりであり、5つの制度を適正に整備、運用し、その作用を発揮させれば、石炭及び関連産業は徐々に健全な長期発展の軌道に乗るに違いない。

 (中国網 12月5日)