1. HOME
  2. 中国 【新エネルギー】

中国
【新エネルギー】

神華の石炭液化プロジェクトが今年9月の生産開始を計画 油価高騰が石炭液化事業を後押し (08/03/06)
2008/3/6
中国【新エネルギー】

 中国神華能源公司の石炭液化プロジェクトについて、同社薛継連副総裁は、順調に進捗しており、今年9月には生産を開始する計画であると述べた。

 薛継連副総裁によると、このプロジェクトは総投資額100億元以上、独自の知的財産権を備える重点プロジェクトであり、第1期の年産能力は100万トン、すべて完成すると300万トンになる。神華は2009年に石炭液化油の生産能力を500万トンにし、いずれは3,000万トンの生産能力を徐々に形成することを目標としている。

 「国際石油価格が高騰する中で、石炭液化事業は一定の優越性を備えている。この事業は当初、反対意見が多かったが、それは石油価格が下落すると、石炭液化事業の損失が深刻なものになるという理由からだった。しかし、石油価格の下落の可能性は極めて低い」と長江証券のアナリストは指摘する。

 石炭液化にはエネルギーと水を高度に消費するという欠点がある。100万トンの石炭液化油事業には100億元の投資を要し、液化油生産には年間500万トンの石炭と1,000万トンの水が必要になる。しかし、「石炭ガス化を基礎とする石炭液化化学工業は中国の現実的な選択になる」と神華煤製油有限公司の張玉卓董事長(会長)は言う。2020年に中国の石油消費量は45億トン以上になり、対外依存度が大幅に上昇する。薛継連神華能源公司副総裁は、全国の石炭総生産量の12%を占める中国神華のような国有企業を3社育て、これら3社の総生産量が石炭総生産量の40%を占めれば、石油価格を抑える上でも有効であると説く。

 発展改革委員会は2006年7月に「石炭化学工業プロジェクト建設管理の強化と産業の健全な発展の促進に関する通達」を出して、石炭液化事業に対する認可を厳格化し、年産300万トン以下の事業を認可しないことにした。しかし、今年1月にはエン鉱楡林100万トンの石炭間接液化モデル事業を認可し、結局、油価の高騰が続く中、政府は神華、エン鉱、●安の3社の、基準に達しない石炭液化事業をも事実上、黙認することになったのである。

 このため、2020年までに中国の石炭液化事業には4,000〜5,000億元が投入され、年産5,000万トンの石炭液化油生産能力が形成される。また、第11次5ヵ年規画期に石炭液化プロジェクトへ投入される資金は5,000億元に達するとの予想もある。

 「およそ4トンの石炭から1トンの液化油が出来る。石炭と石油の国際価格を比較すると、油価が1バレル23ドル以下である限り、石炭液化の展望は明るい」とエン鉱集団副総経理兼煤化公司総経理の張鳴林氏は述べる。2月29日にニューヨーク原油先物相場は一時103ドルを超えて過去最高となったが、長江証券のアナリストは、「これは石炭液化事業にとって最大の原動力になる」と指摘した。

 (第一財経日報 3月6日)

エン鉱集団のエン…ナベブタの下に「ハ」と「允」
 ●安…サンズイに路