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【省エネ・環境】

国際貿易に起因するPM2.5の越境健康被害 清華大学等が解明 (17/03/31)
2017/3/31
中国【省エネ・環境】

 中国科学報3月30日付報道によると、清華大学及び北京大学を主とする国際研究グループが《ネイチャー》誌に研究論文を発表し、グローバル貿易活動に潜在するPM2.5越境汚染の健康への影響について初めて計量的に解明した。同研究は次のように指摘している。

 国際貿易は、中国、インド、東南アジアや東欧等のPM2.5汚染と早期死亡者数を直接増やす一方で、米国、西欧、日本等の地区の早期死亡者数を減らす。このことは国際貿易によって汚染が先進国から未発達国に移転していることを示す。PM2.5関連の大気汚染によって世界で300万人以上が早死している。PM2.5の発生は、各種商品の生産と輸送に伴うエネルギー消費並びに汚染物排出と密接に関連している。国際貿易によって商品生産過程は最終消費地区から生産地区に移転し、商品生産に関連する汚染物排出もこれに伴って移転し、大気汚染物排出の時空分布的特徴を変え、各地区の大気環境と人々の健康に影響を及ぼす。このことは途上国の環境汚染と健康被害がますます大きくなっている重要な原因をなしている。

 今回の研究は世界を13の地域に区分し、国際貿易に関連するPM2.5越境汚染の水準が長距離大気伝達に関わる越境汚染の水準をはるかに超えていることを発見した。国際貿易に潜在するPM2.5越境汚染によって2007年に世界で約76万人が早死し、PM2.5によって早死した人数の約22%を占めた。

 研究を主導した清華大学地学系の張強教授は、「途上国は産業の高度化を急ぎ、国際産業チェーンにおける地位を高めるとともに、老朽化生産能力を淘汰して現地の汚染を減らすことが求められる。同時に、国際協力の仕組みを確立することによって、先進国の先端技術、特に汚染抑制の先端技術を途上国に移転するよう促進して、貿易に潜在する汚染のレベルを引き下げなければならない」と表明した。

 (中国煤炭資源網 3月31日)