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【電力】

中国 電力消費量増加の背後で発電企業に「厳寒」到来 (17/04/24)
2017/4/24
中国【電力】

 国家能源局が発表した電力消費統計によると、第1四半期の全社会電力消費量は1兆4,461億kWh、前年同期比の伸び率は6.9%になり、2012年以降の第1四半期の伸び率として最高を記録した。特に工業用電力消費の伸び率が最も高く、工業が安定的に好転していることが示された。

 電力消費量の着実な増加は、本来は発電企業の景気が日増しに良くなる予兆であるが、大手発電企業の最近の財務諸表は楽観を許さない。9割超の発電企業は減益であり、深刻な赤字に陥っている企業すらある。

 その原因を突き詰めると、第1に石炭企業と電力企業の利害の衝突が深刻であること、第2に電力生産能力が相対的に過剰であるが、電力体制改革の歩みが遅く、電力市場化にはなお時間がかかることが挙げられる。

 石炭企業と電力企業の紛糾はいつ止むのか

 石炭企業と電力企業の紛糾は以前から常態化している。今年に入って寧夏自治区の電力企業大手7社が自治区経済情報化委員会に石炭価格の引き下げを陳情したが、神華の態度も相当強硬であり、石炭価格を下げることはあり得ず、契約しないならば供給を停止すると明確に回答した。早くから市場化が進んだ石炭市場に対しては現地の地方政府も当然ながら過度の干渉はできない。そのため、電力企業は石炭価格の高騰と低い売電価格の板挟みになり、純益の低下もその必然の結果である。

 実際、石炭企業と電力企業は石炭中長期契約を結ぶが、石炭価格に大幅な変動が発生すると、双方の契約履行率は低くなり、石炭と電力の矛盾が常に発生する。そのため、中長期契約はある意味においては形式だけで作用を伴わないとも言える。

 石炭市場の安定と石炭企業と電力企業間の矛盾の緩和を図るため、国家発展改革委員会は最近通達を発して、石炭と電力の双方が石炭中長期契約を遵守すべきであると強調し、契約履行率が一定の要件を満たさない場合、関係政府部門は石炭と電力の双方に対して「面談」(行政指導の一種)と通報を行い、場合によっては罰則を加えるとした。

 電力の市場化が電力企業の「厳寒」からの脱却を助ける

 今年は電力体制改革の施行から3年目であり、改革がスピードアップする。国家発展改革委員会と能源局は4月10日、連名で《電力使用計画の秩序ある開放に関する通達》を発し、各地方の電力体制改革の加速、電力の市場化取引規模の拡大、発電企業、特に石炭火力発電企業が電力小売企業、需要家及び電網企業と3者間の電力売買契約に調印するよう速やかに組織すると表明した。また、新規石炭火力発電設備には全て電力市場化を適用して、電力の供給側構造改革を推進することを明確にした。

 表面的には、発電企業の赤字を増大させた主要原因は電力の過剰と石炭価格の上昇である。しかし、電力市場化改革の停滞が電力企業の収益低下に及ぼした影響も軽視できない。改革を速やかに推進できなければ、電力企業は今後とも上述のファクターによって制約され、経営モデルと経営状況を根本的に改善することは期し難い。

 現行の計画発電と価格決定を打破し、電力企業が精度の高い発電方式によって電力の浪費を減らし、もって電力過剰状況を改善するしかなく、そうすることでようやく電力価格が上昇する。

 (中国能源網 4月24日)