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【省エネ・環境】

中国の石炭化学工業のCO2排出量が第13次5ヵ年計画期に4倍に激増 (17/04/25)
2017/4/25
中国【省エネ・環境】

 国際環境保護組織グリーンピースが発表した《中国石炭化学工業第13次5ヵ年計画期炭素排出量試算研究》によると、石炭化学工業に由来するCO2排出量は2020年に4.09億トン/年に達し、2015年の9,000万トン/年の4倍近くになる。

 石炭化学工業は炭素排出、水消費、汚染が大きいという属性があり、一貫して論議の的になっている。パリ協定締結以降、中国政府はCO2削減に前向きに努力しているが、最新の《エネルギー発展第13次5ヵ年計画》が掲げる石炭化学工業の発展は、中国の炭素削減努力に逆行する公算が極めて大きい。

 《中国石炭化学工業第13次5ヵ年計画期炭素排出量試算研究》は、第13次5ヵ年計画期における中国石炭化学工業の発展ポテンシャルについて評価するとともに、当該産業のCO2排出について試算を行うため、稼動中、建設中及び計画中の中国のあらゆる石炭化学工業事業90件と生産能力のデータを整理した。2015年(第12次5ヵ年計画期末)を基準年として、2020年に稼動する石炭化学事業の規模に応じて、計画シナリオ、極端シナリオ、予測シナリオの3つのシナリオに分けて、2020年(第13次5ヵ年計画期末)の中国石炭化学工業に起因する炭素排出量をシナリオ別に予測した。

 予測シナリオの下では、2020年の石炭化学工業の4製品、すなわち石炭液化、SNG、CTO、石炭由来グリコールのCO2排出量は4.09億トン/年になる。同シナリオにおいて、CTOと石炭液化がCO2排出の7割近くを占め、SNGのCO2排出は相対的に小さい。

 また、計画シナリオでは控えめに見積もって、CO2排出量は3.01億トン/年になり、一方、極端シナリオでは7.92億トン/年になる。

 3つのシナリオのいずれにおいても、2015年の石炭化学工業のCO2排出量9,062万トンに比べて、2020年の排出量が著しく増加し、増加幅は最大で8倍になる。中国がCO2排出削減政策を持続的に進める中にあっても、石炭化学工業の炭素排出強度は増加が続く。このことは中国のCO2削減目標に障害と負担をもたらすことになる。

 そのため、グリーンピースの《中国石炭化学工業第13次5ヵ年計画期炭素排出量試算研究》は次のように提言している。

 石炭化学工業は高炭素排出産業であり、石炭化学事業の許認可に当たっては、中国のCO2排出削減計画と一体的に勘案しなければならない。政策決定部門は石炭化学事業の許認可を行う場合、CTOのような炭素排出が極めて大きい事業の許認可を停止すべきである。また、《エネルギー発展第13次5ヵ年計画》が明確にしている重点建設の範囲外の石炭化学事業を停止しなければならない。第13次5ヵ年計画を超える石炭化学工業の新規生産能力の計画を停止しなければならない。
 
 (中国能源網 4月25日)