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【石油・天然ガス】

シノペックが「4322」構想を提唱 「一帯一路」建設への融合図る (17/05/10)
2017/5/10
中国【石油・天然ガス】

 中国石油化工(SINOPEC)の王玉普董事長(会長)が「一帯一路」建設「4322」構想を打ち出した。「4322」とは、「4大業務チェーンの創出・3大戦略協力区の構築・2大貿易プラットフォームの強化・2つのイノベーションセンターの建設」を指し、全方位的な産業協力のグレードアップを促進し、「一帯一路」沿線諸国との間で、長期的に利益をもたらし民衆に恩恵を及ぼす持続可能な発展に向けてウィン・ウィンの協力モデルを形成することを趣旨する。

 シノペックによると、「一帯一路」沿線諸国は豊かな石油・天然ガス資源を擁し、いずれも石油化学工業を発展させエンジニアリングサービスを導入する計画を進めている。一方、シノペックは石油化学の先端技術及びエンジニアリングと建設の強大なサービス能力を備えている。「引進来」(外国からの技術や資金の導入)と「走出去」(対外進出)によって、沿線諸国との間で相互補完を実現し、業務の一体化共同発展をともに推進する。

 王玉普董事長はシノペック「一帯一路」専門報告会議において、次のように表明した。「一帯一路」イニシアチブはシノペックに発展のチャンスをもたらす。

 第1に、「一帯一路」沿線諸国は石油・天然ガス資源が豊かであり、欧州の先進諸国は国際化経営のノウハウが豊かである。シノペックと「相互補完」出来るポイントが多数ある。

 第2に、沿線諸国には石油化学への大規模な投資、技術と設備の輸入、新エネルギーめぐる協力といった面で大きなニーズがあり、シノペックの産業上の優位や発展のニーズともマッチする。

 第3に、シノペックは石油化学産業で優位を占め、エネルギー協力を産業全体のバリューチェーンに延伸させる上でパワーを提供することが出来る。

 第4に、「一帯一路」沿線諸国の石油・天然ガス埋蔵量は世界全体の3分の2近くを占め、生産量は2分の1以上を占める。また、需要は世界の2分の1近くを占める。そのため、影響力がさらに大きい石油貿易体系の構築に対する抵抗力を除去することが出来る。

 第5に、AIIBやシルクロード基金等の金融機関が中国企業の「走出去」を金融面からサポートする。

 王玉普董事長は、「4322」協力構想は「一帯一路」沿線諸国の資源と市場の優位とシノペックの産業一体化の優位を十分発揮して、双方の相互補完を実現する上で有効であると強調した。

 具体的には、4大業務チェーンとは、石油・天然ガス、石油化学、エンジニアリングサービス、国際貿易の4大業務を指し、沿線諸国とともに4大業務チェーンの一体化共同発展を推進する。

 3大戦略協力区の構築とは、エネルギーの「朋友圏」を共同で建設することである。シノペックは、中央アジア−ロシア−東欧戦略協力区の「拡大」、中東(西アジア)−北アフリカ戦略協力区の「レベルアップ」、東南アジア−南アジア戦略協力区の「開拓」を通し、沿線諸国と連携してエネルギー戦略の調整を進め、ウィン・ウィンの発展を実現する。

 2大貿易プラットフォームの強化とは、伝統的な輸出入貿易プラットフォームと易派客(シノペックの電子商取引プラットフォーム)「物資調達電子商取引プラットフォーム」を通して、「一帯一路」沿線諸国との間で、原油、石油製品、化学製品、設備・材料等の輸出入をめぐって多方位的で多元的な協力を強化することである。工業貿易の相互融通を促進するため、易派客は間もなく国際業務を開始する。

 シノペックは2つのイノベーションセンターの建設も進める。3つの戦略協力区の産業特性に合わせて技術開発の重点を確定し、北米と中東に2つのイノベーションセンターを建設する。

 シノペックは「一帯一路」沿線諸国との間ですでに好ましい協力基盤を形成している。2016年末時点で、シノペックは沿線30ヵ国余りと投資・事業協力を展開し、「一帯一路」沿線はシノペックの「中核戦略区」「中核協力区」になっている。シノペックが第12次5ヵ年計画期に沿線諸国との間で結んだ石油エンジニアリング及び石油化学エンジニアリングサービス契約は568件、契約額は169億ドルに上り、また、累計貿易額は6,200億ドルに上った。共同投資額は1,000億ドル近くに上り、調達した原油は7.6億トンになる。第12次5ヵ年計画期における沿線諸国への納税額は130億ドル超、年間1.5万人の雇用を創出して、現地の経済と社会の発展に大きな貢献を果たしている。

 (中国証券報 5月10日)