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中国
【石油・天然ガス】

サウジアラムコが中国兵器工業集団と共同で中国に大型石油化学基地を建設 (17/05/18)
2017/5/18
中国【石油・天然ガス】

 世界の石油化学の重心がアジアに移りつつある。中国は堅調な原油消費拡大のポテンシャルと目下推進中の石油・天然ガス改革によって、サウジアラムコのような世界的石油メジャーの投資を引き入れている。

 5月17日、北方華錦化学工業股份有限公司は、同社の経営権を有する中国兵器工業集団公司(又の名は北方工業公司:NORINCO)が5月16日、サウジアラムコ及び盤錦鑫誠実業集団有限責任公司と《共同開発協定》に調印したと発表した。3社は共同で製油、化学、小売の複合事業を建設する。

 このプロジェクトは「中国兵器精密化工及び原料プロジェクト」と命名され、1,500万トン/年(約30万B/D)の製油能力と100万トン/年のエチレン生産能力を備える石油化学一体化基地を構築する。出資額や持ち株比率は未だ発表されていない。

 この事業は、海外石油探査開発−石油貿易−石油化学−精密化学−特殊化学の産業チェーンの完備と発展に向けた重点事業になる。

 兵器集団の石油事業はすでに1,000億元規模に達し、探査開発、石油貿易、貯蔵と運輸から製油、精密化学、特殊化学に到るまで整った産業チェーンを構築している。盤錦鑫誠実業集団は盤錦市所属の国有企業であり、地域開発、港湾・物流、金融投資等の分野を手掛ける。サウジアラビア側は、上掲の協力事業以外にも、兵器集団がサウジアラビアの鉄道、電力、採鉱、通信や石油探査等の事業に投資することを許可すると表明している。

 中宇資訊のアナリストである張永浩氏は、中国はサウジ原油の最も重要な顧客の一つであり、サウジアラムコは製油事業に投資することで需要を確保できると指摘する。「世界の石油化学の重心はアジア太平洋に移りつつある。サウジアラムコは戦略は欧米市場から東アジア市場へシフトしつつある。サウジアラムコは中国市場に最も注目している」と張永浩氏は言う。

 サウジアラムコは今年2月、マレーシア及びインドネシアと合意文書に調印し、130億ドルの製油事業の株式を取得した。一方、中国では2011年に中国石油天然ガス集団(CNPC)並びに雲南省所属の雲天化集団と共同で雲南製油所を建設すると発表し、サウジアラムコは株式の39%を保有して、製油所に一部原料を提供することになった。

 張永浩氏によると、サウジアラムコは大口需要家を確保することで中国市場への参入を図っている。純燃料型製油所である雲南製油所とは異なり、兵器集団と共同で建設する東北製油所は石油化学一体化事業になる。産業チェーンはさらに整ったものになり、リスク抵抗能力と収益能力も上昇する。

 (界面新聞 5月18日)