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【原子力】

中国国家能源局長「エネルギーにおける原子力の戦略的地位を真剣に考慮」(17/10/09)
2017/10/9
中国【原子力】

 国家能源局が最近発表した今年上半期の電力消費統計によると、原子力発電は急速な増加傾向を呈しており、前年同期比の伸び率は太陽光発電の35.1%に次いで高い19.6%に達した。一方、風力発電の伸び率は17.9%、火力発電は7.1%になり、水力発電は気候等の影響によりマイナス成長になった。

 また、中国電力企業聯合会の統計によると、今年に入ってから、原子力発電の電力受入問題は若干好転しており、平均設備利用時間数は59時間(半年)増加した。

 2大原子力発電集団の上場公司も業績好調であり、中核集団傘下の上場公司である中国核電の7月7日の発表によると、2017年6月30日までの同社の上半期の商業運転発電電力量は前年同期比17.70%増加した。中広核集団傘下の上場公司である中広核電力の7月14日の発表によると、2017年1〜6月における同社の原子力発電設備の系統連系電力量は前年同期に比べ23.68%増加した。

 中国5大発電集団もすでに原子力発電に進出している。中でも国家電力投資集団は原子力発電の競争力において突出したレベルにあり、今や中国3大原子力発電集団の1つになっており、原子力発電の比率は2大原子力発電集団に次ぐ。

 国家電力投資集団の7月13日の中期会議では、王炳華董事長(会長)は同社にとっての原子力発電の重要性について改めて言及した。王董事長は、下半期には「原子力発電事業のマイルストーンになる成果を確保し、自主化プラットフォームの転換とグレードアップを推進しなければならない」と表明した。国家電投の中期会議によると、同社の上半期の収益は5.07億元に上った。

 原子力発電は中国のエネルギーセキュリティや、2030年の非化石エネルギーシェア20%目標の達成に対して、決定的に重要な作用を果たす。業界の一般の見方によると、長期的には原子力発電こそが火力発電に大規模に取って代わることが出来る唯一の基礎エネルギーになる。火力発電と比べ、原子力発電には汚染ガスの排出がなく、エネルギー転換効率が高いなどのメリットがあり、また、水力発電や風力発電等に比べると、季節や気候の影響を受けず、発電の効率性と安定性が高い。

 6月28日、努爾・白克力(Nur Bekri)国家能源局長は、中国原子力科学研究院の視察を行った際、原子力発電はクリーン・エネルギーであり、原子力発電の発展は国の戦略ニーズに向けたものでなければならないと述べた。また、未来のエネルギー戦略の策定や構造調整、再編においては原子力発電の戦略的地位を真剣に考慮しなければならないとした。

 しかしながら、注意すべきは、2016年以降、現時点まで、承認を得て着工した新規原子力発電設備が未だにないということである。2015年には全国で8基の原子力発電設備が承認されていた。もっとも、原子力発電企業の関係者によると、最近、第三世代原子力発電設備になるAP1000とCAP1400がブレークスルーを実現し、年内にも新たな原子力発電設備の着工が承認されるとのことである。

 全国の原子力発電開発計画をもとに試算すると、2020年まで年間約8基の原子力発電設備の建設が開始され、年間投資総額は約1,500億元になる。

 (国際電力網 10月9日)