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【省エネ・環境】

中国が全国炭素排出権取引システムを始動 先に発電産業が対象に (17/12/20)
2017/12/20
中国【省エネ・環境】

 12月19日の国家発展改革委員会プレス発表会によると、国家発展改革委員会は国務院の同意を得て先日《全国炭素排出権取引市場建設方案(発電事業)》を通達した。中国の炭素排出権取引システムの全体設計が完了し、正式に始動したことになる。

 張勇発展改革委員会副主任はプレス発表会において、今回の方案は発電事業を突破口として全国炭素排出権取引システムを始動し、段階を分けて着実に炭素排出権取引市場の建設を進めると表明した。

 今回の方案が電力事業に及ぼす影響について、アモイ大学中国エネルギー政策研究院の林伯強院長は次のように指摘する。一部のエネルギー多消費の火力発電企業にとってはコストが増えるため、マイナス影響になる。しかし、排出の大きい企業が低排出の方向へと発展するよう強いることで、電力構造とエネルギー構造の最適化を実現する。

 今回の方案で発電事業を突破口とした理由について、張勇副主任は、8つのエネルギー多消費産業について準備を進めていたところ、発電事業が最も条件を備えていることが分かったためであると表明した。

 国家発展改革委員会気候司の李高司長によると、発電事業はデータの基礎が整っており、製品は相対的に単一である。熱力と電力の2種類しかなく、データ計測設備も完備され、管理も規範化されている。そのため、(炭素排出の)算定と検証が容易であり、排出枠の配分もやり易い。また、発電事業の排出量が極めて大きいことも考慮した。

 方案の要件によると、対象になる企業の基準は年間CO2排出量2.6万トンであり、これは総合エネルギー消費1万tce(標準炭換算トン)前後になる。李高司長によると、この基準に基づくと、発電事業の中で1,700社余りの企業が対象になり、CO2排出量は30億トンを超える。発電事業で炭素排出権取引を始動すると、世界で運営中のどの炭素市場に比べても規模ははるかに超えることになる。

 なお、今回、先に電力事業での炭素排出権取引市場を始動させた上で、これを基礎に他のエネルギー多消費産業、高排出産業も考慮に入れることになる。李高司長は今後、炭素市場の対象とする基準を引き下げて、より多くの企業を炭素市場の管理範囲に入れると表明した。今後、中国の炭素市場は徐々に成熟し、対象になる産業と企業が増え、取引量も相当大きい規模になると李高司長は述べた。

 (毎日経済新聞 12月20日)