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【石油・天然ガス】

広州、武漢など多くの都市で軽油が再び逼迫 市民は再値上げを懸念 (08/03/17)
2008/3/17
中国【石油・天然ガス】

 広州、深セン、東莞、珠海や武漢、海口など多くの都市で軽油が再び逼迫し、市民は石油製品小売価格が再び値上げされるのではと懸念を強めている。

 深センや広州のサービス・ステーションの多くは現在「軽油売り切れ」の看板を掲げている。かろうじて在庫のあるサービス・ステーションも常連客に限られた給油を行うことしか出来ない。広州市内の一部サービス・ステーションでは給油待ちの長い車列が続き、渋滞騒ぎになっている。武漢では58台のバスが運行停止を余儀なくされている。

 中国石油化工(SINOPEC)広東公司筋も軽油の逼迫が事実であると認めている。同社はすでに外部への卸売りを停止し、系列サービス・ステーションの小売分確保に全力を挙げるとしている。

 広東省は、3月期に他の省からガソリン7,000トン、軽油5,000トンを調達するよう計画していたが、現在調達できているのはガソリン2,000トン余りに過ぎず、軽油は全く入っていない。SINOPECはかろうじて小売を確保することしか出来ず、卸売りはすでに停止しており、工場や発電所向けの供給も極めて難しくなっている。SINOPEC広東公司は、今月末には逼迫が緩和される見込みであるとしている。

 今回の軽油逼迫について、SINOPECは国際油価の高騰が主因としている。すでに国際原油価格は1バレル110ドルを超えており、旧正月前に比べ2割近くもの高騰となっている。地方製油所の多くは次々と生産を縮小し、生産を停止するケースさえある。国際油価の上昇がコスト増をもたらしているのであり、油価の高騰が続けば、軽油もさらに逼迫すると業界筋は分析している。

 軽油の逼迫は、コストの上昇だけでなく、小売と卸売の逆さや(卸売価格が小売価格よりも高い)にも大きな原因があると見られている。0号軽油の卸売価格はリッター換算で5.60元に上がっているが、広東省物価局の規定による0号軽油の小売価格は1リッター5.28元に過ぎない。極端な逆さやのため、民間のサービス・ステーションは赤字覚悟で軽油を売ろうとはせず、SINOPECと中国石油天然ガス集団(CNPC)も外部に対する軽油の卸売を全面的に停止している。

 また、一部サービス・ステーションが給油を制限しているのには、輸配送の面にも原因がある。その上、旧正月後は例年、石油製品のオフシーズンとなるのだが、今年は南方地区の大雪災害によって送電系統が被害を受けため、多くの工場が軽油発電機による自家発電を行っており、それが軽油の逼迫を招いているとの見方もある。

 市民の間では、国内の石油製品値上げの噂もあり、今回の軽油逼迫は、供給企業が売り惜しみをして値上げを待っているのではなかいとの憶測も流れている。だが、海南省の主要供給企業であるSINOPEC海南公司筋は、値上げ待ちの売り惜しみはないと言う。

 国際油価が1ドル110ドル前後で推移する中、全人代閉幕後に石油製品価格が引き上げられるとの予想が強まっていると業界筋は指摘する。すでに先月末の段階で、北京や広州等では値上げ前に給油をしておこうとするカーオーナー達が連夜サービス・ステーションに列をなす現象が見られていた。

 (新華網 3月16・17日)