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【石油・天然ガス】

中国 天然ガス対外依存度は年々上昇 戦略備蓄の建設が急務 (18/03/05)
2018/3/5
中国【石油・天然ガス】

 2017年に中国の天然ガス消費の伸び率は大幅に上昇し、特に下半期は需給ギャップが持続的に拡大し、一部地区では天然ガスが逼迫した。

 今年の両会(全国人民代表大会と全国政治協商会議)において、全国政治協商会議委員であり光匯石油の会長である薛光林氏は建議書を提出し、天然ガス戦略備蓄の発展が遅れているため、天然ガスの安全・安定供給を保障することが難しいと指摘した。特にここ数年、天然ガス不足が頻発する中で、天然ガスの戦略備蓄とピーク調整備蓄の確立に取り組み、天然ガス供給の安全と国のエネルギー供給の安全を保障し、絶えず増加する生産と生活用需要を満たすことが急務になっている。

 対外依存度は40%に近づく

 2017年の中国の天然ガス消費量は2ケタ台の伸び率を回復し、通年の消費量は2,407億m3、前年比17%の増加になり、増加量は340億m3を超えた。

 通関統計によると、2017年の中国の天然ガス輸入量は962億m3、前年比33%増加した。うちパイプラインガス輸入量は426億m3、前年比9%増、LNG輸入量は535億m3、換算すると3,828万トンであり、前年比48%の増加になった。

 中国の天然ガス生産量は限られており、生産量の伸び率は消費量の伸び率に及ばず、そのため天然ガスの輸入によって補わなけれなならない。2017年の中国の天然ガス対外依存度は39.9%に達し、ほぼ40%になる。

 薛光林氏によると、2006年以降、中国の天然ガス対外依存度は年々上昇しており、2016年には36%に達していた。将来はさらに上昇し、中国は世界最大の天然ガス純輸入国になるだろう。

 また、中国は天然ガス発展第13次5ヵ年計画に基づき、大気汚染管理重点地区等のガス化プロジェクト、天然ガス発電及び分散型エネルギープロジェクト、交通分野のガス化プロジェクト、省エネ代替プロジェクトの4大天然ガス利用プロジェクトに取り組むことで、一次エネルギー消費量に占める天然ガスのシェアを10%前後に引き上げるよう努めることになるが、今のところ未だ達成しておらず、そのため中国の天然ガス需要は今後も大幅な増加が続くに違いない。

 相対的に遅れている天然ガス備蓄能力

 注目しなければならないのは、米国、ロシア、英国など世界の天然ガス生産・消費大国の多くは天然ガス産業発展の初期段階においてガス備蓄庫の建設に着手し、整った地下備蓄庫を形成していることである。また、フランスや日本など天然ガスを輸入に依存する諸国も天然ガス備蓄を重視し、企業備蓄だけでなく、戦略備蓄も確立している。

 薛光林氏の見方によると、ガス源地区と需要地区の年間のピーク差や季節的なピーク差に起因する需給の逼迫が多発しており、一定の備蓄と緊急ピーク調整施設を確立することが不可欠である。また、天然ガスの資源地区と消費地区が離れているため、供給の安全を保障するには十分なエネルギー備蓄量が必須になる。

 薛光林氏が提出した資料によると、中国西部のタリム盆地、中西部の四川盆地、オルドス盆地及び東シナ海海域が主要なガス生産エリアであり、一方、主要消費市場は東部地区に分布し、消費量の約65%を占める。主要消費地区の天然ガスピーク調整の需要は天然ガス消費量の増加に伴って急速に拡大し、パイプライン網のピーク調整では問題を解決するにははるか遠くなっている。

 「既存の大型地下ガス備蓄庫や地上の大型LNGタンクの建設主体は一般に大手国有石油ガス集団など資源供給企業であり、都市部のLNGタンクなど小型ガス貯蔵施設は主に都市ガス企業など下流の需要家が建設している。統一的な天然ガス戦略備蓄システムは欠如している」と薛光林氏は指摘する。国家石油戦略備蓄のモデルを参考にして、総合的な計画を進め、一定規模の国家天然ガス戦略備蓄を可及的速やかに建設しなければならない。国、資源企業、都市ガス企業の3つのクラスの備蓄主体を形成し、様々な投資主体が天然ガス備蓄施設の建設に参加するよう奨励すべきであると薛光林氏は言う。

 薛光林氏は、関係政府部門に対し、例えば国家天然ガス備蓄センターのような中国の現実に適した天然ガス戦略備蓄管理モデルを速やかに確立すると同時に天然ガス備蓄建設に関する応分の法規を速やかに制定し、支援政策を明確にすることを提言した。そして、備蓄とピーク調整施設の建設並びに投資主体を徐々に開放し、能力を有する民営企業が建設と投資に参加するよう奨励すべきとした。

 また、薛光林氏は、ガス備蓄庫の商業並びに金融機能を発揮させること、価格を徐々に自由化すること、ガス貯蔵サービスの取引市場と天然ガスのスポット取引や先物取引市場を建設することも建議した。

 (中国能源網 3月5日)