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【石油・天然ガス】

カナダ最大のLNG事業が間もなく着工 ペトロチャイナが15%出資 (18/10/08)
2018/10/8
中国【石油・天然ガス】

 中国石油天然ガス股份公司(PetroChina)が投資に参加するカナダLNG事業が2年遅れで間もなく着工される。投資額は400億カナダドル、カナダ史上最大規模のエネルギー投資事業になる。2024年の完成稼動が計画されており、カナダの天然ガスが中国や日本などアジアの天然ガス消費国に販売されることになる。

 10月1日、ロイヤルダッチシェル、マレーシア国営石油会社ペトロナス、中国石油天然ガス股份公司、日本の三菱、韓国天然ガス公社Kogasの共同出資によるLNG Canada社はカナダLNG事業第1期の最終投資決定(FID)を発表、British Columbia州北部のKitimatでLNG輸出施設の建設と運営を行うことになった。

 天然ガス液化施設、パイプライン、埠頭等を建設することになり、4本の生産ラインからなる年産2,800万トンの大型LNG施設を建設する計画。うち第1期は2本の生産ラインを建設し、LNG年産1,400万トンになる。第2期は2本の生産ラインを増設し、1400万トンの生産能力を形成する。第2期は第1期の進展状況に応じて改めてFIDを行う。

 British Columbia州北部のMontney盆地の天然ガスをKitimatに輸送するため、カナダLNG事業はカナダ最大のパイプライン運営企業Trans Canadaと契約を結び、Trans Canadaが670キロに及ぶ沿海天然ガスパイプライン(Coastal GasLink)の建設と運営を行う。

 カナダLNG事業は2016年に40年間のLNG輸出ライセンスを取得した。協力パートナー5社のうちシェルは同事業の40%の権益を有し、ペトロナスは25%。ペトロチャイナと三菱は各15%、Kogasは5%の権益を有する。

 2012年当時の計画では、2015年に開発段階に進み、2020年までに正式に稼動する予定であったが、2016年には世界的なエネルギー価格の低迷とLNGの供給過剰を受けて、共同出資会社は事業の延期を決定した。今年に入ってから、カナダBritish Columbia州当局は事業のFIDを可及的速やかに行うよう出資者に推奨するとともに、同事業に対して州売上税を免除するとともに、純所得税を3.5〜5%にすることを決定した。

 カナダは米国、ロシア、イランに次ぐ世界最4位の天然ガス生産国であり、世界第5位の天然ガス輸出国である。近年天然ガス需要が急増しているアジア市場にとってカナダのLNGは北米における新たなガス源になる。British Columbia州は天然ガス埋蔵量が豊かであり、採掘コストが低い。しかも同事業からのLNGタンカーはパナマ運河を通る必要がなく、北アジアまでの海運距離は米国メキシコ湾から出航する航程に比べて約50%短い。そのため、カナダLNG事業の経済的優位は高まる。

 以前は米国がカナダ産天然ガス資源の主要な買主であったが、米国のシェールガス生産量の激増や天然ガス価格の大幅な低下に伴い、北米天然ガス市場は急変し、カナダから米国への天然ガス輸出は急激に減少した。カナダは新しい輸出市場を開拓するため、多数のLNG輸出事業を推進し、アジアの顧客はその最優先の目標になった。2011年以降、長期輸出ライセンスを取得したカナダのLNG事業は合計24件に上る。

 今回のカナダLNG事業のFIDは、カナダの天然ガス生産業者を勇気づけた。近年の油価下落を受けて、カナダ西海岸の多数のLNG事業が中断されていたからである。ペトロナスが株式の過半数を占め、中国石油化工(SINOPEC)も参加しているPacific NorthWest LNG事業(PNW LNG)もその1つである。

 ペトロチャイナは9月29日、全額出資子会社である中石油国際投資有限公司のカナダLNG事業第1期権益投資額は34.6億ドル(約237.6億元)になると発表した。

 (中国能源網 10月8日)