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中国の石油・天然ガス体制改革 国家PL公司再編案も公布間近か (18/11/26)
2018/11/26
中国【石油・天然ガス】

 国家パイプライン公司が間もなく設立されるとの情報が改めて伝わって来た。

 報道によると、中国石油天然ガス集団(CNPC)は傘下の石油ガスパイプライン関係など約10社をすでに同じ執務場所に移転しているとのことであり、このことは国家パイプライン公司の設立に関係している可能性がある。

 また、中国石油天然ガス集団(CNPC)、中国石油化工集団(SINOPEC)及び中国海洋石油集団が傘下のパイプライン資産と職員を新しいパイプライン網公司に移転するとの情報もある。新公司の持ち株比率は各社のパイプライン資産の評価額をもとに決められ、新公司の評価額は3,000〜5,000億元になると見られる。

 新しいパイプライン網公司には国営投資基金や民営資本なども含め外部資本を約50%導入することも計画されていること、新たな資金はパイプライン網の拡張に充てること、新パイプライン網公司の上場を模索することなども伝わっている。

 実際、石油ガスパイプライン網の分離独立は中国の石油・天然ガス体制改革において一貫して重要な方向性の1つとされて来た。

 2017年5月に通達された「石油・天然ガス体制改革の深化に関する若干の意見」は、大手国有石油ガス企業のパイプライン幹線の独立を段階的に推進すること、パイプラインと販売を分離すること、石油ガスパイプライン網への公平なアクセスを完備すること、石油ガスパイプライン幹線、省内パイプライン網及び省間パイプライン網のいずれも第三者に公平に開放することを提唱している。

 2017年12月には全国発展改革工作会議において、何立峰発展改革委員会主任は2018年中に天然ガスパイプライン運営メカニズム改革実施方案を策定すると表明した。

 2018年6月、発展改革委員会は「民用ガスシティゲート価格の合理化に関する通達」を公布し、民生用ガス基準シティゲート価格と非民生用価格の一本化を徐々に進めることを打ち出した。

 中金公司のアナリストは「天然ガスの民生用シティゲート価格と非民生用シティゲート価格の一本化に向けた改革は、石油公司のパイプライン資産の分離と国家石油ガスパイプライン公司の設立のための地ならしである」と述べ、国家パイプライン公司再編案は今年冬から来年春の暖房シーズン終了後に公布されるとの見方を示した。

 中国石油大学の劉毅軍教授は『証券日報』の取材に対し、新パイプライン公司設立の可能性は高く、難度は比較的高いものの、年内にも速やかに推進されるに違いないと表明した。

 実際、今年に入ってから石油ガソリンパイプライン網の開放が急速に進んでいることは特筆に値する。

 中国海油気電集団と上海石油天然ガス取引センターが共同でリリースした中国初のウィンドウ・ピリオド商品の第1位オンライン試験取引が9月20日に完了し、振華石油と勝通能源のコンソーシアムが公開入札を経て購入した。このモデルは、第三者に向けたLNGターミナルの全面的公平開放を模索する第一歩になる。

 また、中国で初めて民営企業が投資する大型LNGターミナルになる新奥舟山LNGターミナルが10月19日に操業を開始した。新奥集団はこのターミナルは開放的なプラットフォームになると表明している。
 
 エネルギー改革の中でも最も手ごわいのが電力改革と石油ガス改革であるが、最近、元CNPC総経理(社長)の章建華氏が国家能源局長に就任し、この新局長によって石油ガス改革に打開が実現するのではないかとマーケットも高く期待している。

 CNPCは全国のパイプライン資産の75%以上を有している。2017年末時点でCNPCの国内における石油ガスパイプラインの総延長は82,374キロ、うち天然ガスパイプラインは51,315キロになる。そのため、パイプライン資産の分離によって最も大きい影響を受けるのがCNPCである。

 一方、中国海洋石油の関係者は「国家パイプライン公司の設立は中国海洋石油集団の天然ガス生産と市場開拓に対して有利に働く。中国海洋石油の市場範囲は現在東南沿海部に限られているが、国家パイプライン公司が設けられると、全国のあらゆる市場に拡張することが可能になる」と表明した。

 (証券日報 11月26日)