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【石油・天然ガス】

オルドス−安平−滄州ガスパイプライン 内蒙古西部のSNG輸送の道を開く (18/11/27)
2018/11/27
中国【石油・天然ガス】

 11月中旬、国家発展改革委員会と能源局が督励指導する重点プロジェクトであるシノペックのオルドス−安平−滄州ガスパイプライン第1期が稼動した。業界関係者によると、この長期距離パイプラインは華北地区の天然ガス需給ギャップとスモッグの発生を緩和すると同時に、内蒙古地区のSNG(石炭ガス化ガス)にパイプライン輸送のチャンスをもたらし、内蒙古の新たなエネルギー対外輸送ルートになると期待される。

 オルドス−安平−滄州ガスパイプライン事業は総投資額344億元、計画総延長2,293キロ、年間ガス輸送能力300億m3、基幹線1本、支線2本、連絡線3本からなり、西は陝西省神木を起点に東は河北省滄州に到り、河南省濮陽に南下し、北は雄安新区に達する。内蒙古、陝西、山西、河北、河南の5つの省を横断し、十字状に交差して相互に連携する。今回稼動した第1期は全長675キロ、内蒙古オルドス市を起点に河北省と河南省の8市・23県区を経由する。第1期はすでに河北省へのガス供給を開始した。

 注目されるのは、オルドス−安平−滄州ガスパイプラインは将来的にはSNGが主要ガス源として注入されると業界から普遍的に目されていることである。

 シノペックの関係者によると、同パイプラインはオルドス地区のSNGと華北地区の在来型天然ガスを主要ガス源とし、中長期的には内蒙古、陝西、山西等のSNG、炭層ガス、在来型天然ガスの対外輸送ルートになる。

 「内蒙古のSNG事業の発展において最大のボトルネックはパイプライン輸送問題だ。そのため市場への販売の余地は狭く、経営は困難であり、収益力が弱い。しかし、SNG企業が国の天然ガス基幹パイプライン網に接続して長距離パイプライン輸送を実現できれば、価格決定においてより公平な発言権を有するようになり、新規事業や拡充事業の展望も広がる」と内蒙古龍美科技有限公司の趙蘭副総経理(副社長)は述べた。

 内蒙古ではすでに2件のSNG事業が稼動している。1つは大唐の内蒙古克旗40億m3/年の事業、もう1つは内蒙古匯能の16億m3/年の事業である。

 大唐克旗事業の最初の装置は生産能力13.3億m3、紆余曲折を経たものの安定生産を実現し、日量は最高409.8万m3に達している。工場からの対外輸送パイプラインは全長320キロ、承徳市灤平県巴克什営ステーションで中国石油天然ガス集団(CNPC)のパイプラインに接続する。年間輸送能力は60億m3、北京市場に供給している。

 内蒙古匯能の第1期4億m3/年のSNG事業は2014年に試験稼働を開始した。製品の質は安定し、転換効率が高く、技術と設備、工程、環境保護指標はいずれも優れた水準に達しているが、種々の要因により未だパイプライン網に接続していない。最近、第2期事業も着工された。計画投資額120億元、新規SNG生産規模は16億m3になり、2021年の稼動が見込まれる。

 2018年10月末時点で内蒙古第13次5ヵ年計画に盛り込まれているSNG新規建設・拡充・計画事業は11件になり、大唐克旗と内蒙古匯能の拡張事業の他、7件が内蒙古西部地区に立地している。北控京泰能源公司の40億m3/年事業、内蒙古新蒙能源のオルドス80億m3/年事業、内蒙古華星能源の40億m3/年事業、建投通泰のオルドス40億m3/年事業、中国海洋石油のオルドス40億m3/年事業、渤化集団内蒙古エネルギー化学工業基地の40億m3/年事業、慶華集団中科煤基清潔能源のフフホト60億m3/年事業である。また、内蒙古東部地区のSNG事業には、華能伊敏煤電の40億m3/年事業と内蒙古興安盟科右中旗の40億m3/年事業がある。

 内蒙古科技大学化工学院の王亜雄院長の分析によると、オルドス−安平−滄州ガスパイプラインの稼動によって、内蒙古のSNG事業の発展が促進され、内蒙古西部地区は中国の中でもSNG産業の発展優位を備える黄金地域になる。現在、SNGが在来型天然ガスと競争する上で最大の制約要因はパイプライン網である。パイプライン網の独占が打破され、パイプラインタリフが引き下げられると、内蒙古の11件のSNG事業の稼動プロセスは加速される。

 内蒙古のSNG事業にとってパイプライン網による輸送は焦眉の急になっている。王亜維院長によると、内蒙古はSNGを国の第13次5ヵ年計画の備蓄事業に組み入れるよう着実に推進しており、新規SNG事業の建設規模を80億m3以上にすることを目指している。第13次5ヵ年計画期末に内蒙古の天然ガス生産量が300億m3、SNG生産能力が96億m3に達すると仮定して試算すると、2020年には内蒙古全区の天然ガス(SNGも含む)供給能力は396億m3に達する。

 内蒙古自治区石化協会の元会長である柳華民氏によると、内蒙古自治区政府は自治区内外の2つのマーケットを総合的に計画して石油ガスパイプライン網の建設を推進している。第13次5ヵ年計画期には石油ガス長距離パイプラインを2,440キロ増やし、ガス輸送能力を657億m3にすることを目指す。SNGも含む天然ガス対外輸送能力は250億m3に達する。また、「ガス化内蒙古」のプロセスも加速して、旗・県の約60%に天然ガス(SNG)パイプラインを繋げる。

 「オルドス−安平−滄州ガスパイプラインの開通は『破氷の旅』と言うことが出来る。パイプラインがオルドスのSNGを主要ガス源にすることで内蒙古西部のSNGのパイプライン輸送に先鞭が付けられたと言える。将来的にはオルドス盆地の天然ガス資源開発と内蒙古全区におけるSNG事業の建設と結びつける形で、内蒙古西部SNG対外輸送パイプライン、興安盟石炭・化学・電力・熱供給一体化実証事業ガス輸送パイプラインなど全線が次々と稼動すると、内蒙古東部と西部を貫き国の主要パイプライン網と接続することになる。全区のSNG産業の発展に歴史的なチャンスが到来する」と柳華民氏は述べた。

 (中国煤炭資源網 11月27日)