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中国
【石炭】

2018年の生産量35億トン超 石炭は依然中国のエネルギーの主力 未来の発展の鍵は「クリーン」(19/02/28)
2019/2/28
中国【石炭】

 2月25日、国際エネルギー機関(IEA)と中国国家能源集団は共同で『グローバル石炭マーケットレポート(2018-2023)』を発表した。同レポートは、石炭は依然としてグローバルエネルギーシステムの中核であるとの見方を示している。

 世界の石炭需要は2017〜18年に2年連続でプラスになり、新興市場が欧米等の先進経済体に代わって石炭需要の増加を牽引する重要な原動力になりつつある。特に中国はグローバル石炭市場の発言権を掌握している。

 IEAのポール・シモンズ副事務局長は「2000年の世界のエネルギー需要の中で欧州と北米の比重は40%を超え、アジアの途上国の比重は約20%に過ぎなかったが、IEAの予測によると、2040年にはこうした状況は完全に逆転する」と述べた。

 低炭素や環境保護意識が徐々に高まるにつれて、石炭や石油に代表される一次エネルギーは未曾有のチャレンジに直面している。2015〜16年には世界の石炭需要は2年連続で低下傾向を示していた。

 しかし、2018年の世界のエネルギー構造の中で石炭は依然4分の1以上を占めている。IEAレポートの見方によると、石炭は依然としてグローバルエネルギーシステムの中核であり、また、極めて多くの国では依然として主要エネルギーである。IEAレポートの予測によると、向こう5年間で、グローバルエネルギー構造に対する石炭の貢献は27%から25%に下がり、再生可能エネルギーと天然ガスに取って代わられる。

 IEA上席研究員のCarlos Fernandez Alvarez氏は、グローバル石炭市場では2つのマーケットが現出しつつあると指摘する。

 欧州と北米地区では石炭火力発電所の閉鎖が気候対応政策の重要な一環になりつつある。西欧諸国は石炭使用からの脱却を速めており、2023年にはフランスとスウェーデンが最後の石炭火力発電所を閉鎖する。将来的には西欧の重要な石炭消費国はドイツだけになる。

 一方、インドや東南アジア等の新興経済体が建設する石炭火力発電所が石炭需要を増やしている。IEAの統計によると、過去10年間において、インドの新規発電所の石炭需要は毎年6%以上のペースで増加しており、向こう5年間も年率4%近くの伸びになるだろう。東南アジア市場も石炭増加の重点になる。2023年まで東南アジア地区の石炭需要は毎年5%以上のペースで増加すると予想される。

 中国は発言権掌握

 2018年の中国の石炭生産量は35億4,600万トン、世界の総生産量の47%を占めた。また、中国税関総署の統計によると、2018年の中国の石炭輸入量は2億8,100万トン、世界の総輸入量の20%を占めた。

 「世界の石炭消費構造において中国は絶対的な発言権を占めている」とポール・シモンズ副事務局長は言う。

 中国の石炭の将来の発展については、中国煤炭工業協会の王顕政会長は「2030年になっても中国の一次エネルギー消費構造の中で石炭は依然として50%前後を占めている。主要エネルギーとしての石炭の地位と役割を変えることは難しい。加えて、向こう5年間、石炭消費は依然として小幅ながら増加傾向を維持し、消費総量は40億トン前後を維持することになる。供給側構造改革の深化に伴い、今後数年間、中国の石炭生産力の水準は大幅に上昇し、産業構造のさらなる最適化が進む。生産効率と総合発展のクオリティも大幅に上昇するだろう」と述べた。

 実際、中国経済は正に構造転換期にある。この時期において中国は石炭エネルギーのクリーンで高効率の発展をより一層重視することになる。この点について、国家能源局の劉宝華副局長は「中国政府は発展の質と収益の向上を中心に据え、構造と部署の最適化をより一層重視し、クリーンで高効率の発展と科学技術の革新に着目する。集約的で安全で高効率でグリーンの現代的石炭産業体系の建設を明確に打ち出しており、石炭産業が「大」から「強」へと歴史的な飛躍を実現する」と表明した。

 IEAは、高炭素エネルギーとしての石炭の未来の持続可能な発展は炭素回収・使用・貯蔵(CCUS)によって決まると考えている。ポール・シモンズ副事務局長は炭素の回収・使用・貯蔵なくして石炭の未来はない」とまで言う。

 国家能源集団総経理(社長)であり中国工程院院士の凌文氏は中国における石炭の発展ポテンシャルに対して自信を示し、「中国は目下エネルギーの転換期にあるが、石炭の未来は依然明るい。クリーン・エネルギー発展の理念を確固として持ち、クリーンテクノロジーの革新と発展を絶えず推進すれば、石炭をクリーン・エネルギーに変え、産業の『華麗なる転身』を実現することは完全に可能だ」と述べた。

 凌文氏はさらに、「石炭の未来の鍵は『クリーン』にある。世界最大の石炭生産企業であり、火力発電企業にして石炭液化・石炭化学企業でもある国家能源集団は石炭のクリーンな採掘、クリーンな利用とクリーンな転換において、前向きの努力と模索を続けている」と述べた。

 劉宝華副局長は「中国の石炭火力発電設備の70%はすでに超低排出を実現した。このことは中国がすでに世界最大のクリーン・コール電力供給体系を形成したことを意味する。エネルギー供給と環境保護の矛盾を有効に緩和し、世界に対して石炭のクリーンな利用の模範を示している」と述べた。

 石炭火力発電設備の効率向上や石炭火力発電所の超低排出と同時に、石炭化学工業技術も石炭のクリーンで高効率の利用において重要な一環になる。

 凌文氏はCCUSの面で石炭化学工業技術は優れた役割を発揮するとし、「現代的石炭化学工業のCO2排出濃度は一般に80%を超え、CO2回収コストは相対的に低い(発電所の3分の1〜4分の1)だ」と述べた。

 王顕政会長は「第13次5ヵ年計画期末までに全国に完成する石炭化学工業の生産能力は、石炭液化油1,500万トン、SNG(石炭ガス化)180億m3、石炭由来オレフィン1,200万トン以上、石炭由来エチレングリコール600万トン以上、石炭由来アレーン100万トン以上になり、高硫黄炭由来メタノールの新規生産能力は1,000万トンになる。上掲のプロジェクトが全て完成すると、原料用石炭は2.0億トン前後増えることになる」と表明した。

 (中国能源網 2月28日)