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中国初の洋上フローティング原子力発電所が2019年着工の見込み (19/03/12)
2019/3/12
中国【原子力】

 「中国初の洋上フローティング原子力発電所が今年着工される見込みだ」。

 3月12日、全国政治協商会議委員を務める中国核動力研究設計院の羅琦院長が明らかにした。山東省煙台に配置されるACP100S洋上核動力プラットフォームは四川省成都市にある中国核動力研究設計院が中心になって研究、設計及び中核部品の生産を行っている。

 洋上フローティング原子力発電所は言わば、陸上原子力発電所の縮小版を船舶プラットフォームに設置するものであり、錨地を動態的に調整することが可能である。僻遠地区、重要島嶼や海上石油ガス掘削リグに対しクリーン電力、熱エネルギー、淡水の複合供給を行うことがが出来る。洋上のモバイルバッテリーとも呼ばれ、ロシア等の核工業強国ではすでに実用化されている。

 中国核動力研究設計院が開発したACP100S洋上核動力プラットフォームは中国最強のモバイル電源になる。例えば北方地区の暖房に利用する場合、石炭焚き暖房に比べると、年間約20万トンの石炭消費を減らし、CO2排出を50万トン余り、SO2排出を約3,000トン削減することが出来る。

 羅琦院長によると、中国核動力研究設計院は「軍民融合」発展戦略構想に従って、2010年にACP100S洋上核動力プラットフォームの研究開発を開始した。近年、炉心や小型化制御棒駆動機関、パッシブ炉心冷却システムなど様々な技術的難題を克服、100%の知的財産権を備え、今やコアテクノロジーの研究開発、実験検証及び中核設備の試作等の作業を全て完了している。
 
 「我々は終始一貫して安全性と信頼性を第一にしている」と羅琦院長は言う。プラットフォームの設計においては海上の台風、流氷、降雪等の影響を十分に考慮に入れ、原子炉の主要設備は全て耐衝撃試験を経て、超強力な耐動揺・耐衝撃能力を備え、安全性の面で最新の第三世代原子力発電技術の要件を満たしている。

 2018年、煙台市政府と中国核工業集団は洋上クリーン・エネルギー総合供給プラットフォーム事業協力協定に調印した。複数のACP100S原子炉を部署して、煙台地区の熱力・電気・淡水等の需要を賄う計画である。

 「この事業はすでに運転基地と建造基地を明確にしており、FSも終盤に近付いている。国からのFS報告承認を得た上で、早ければ今年中に着工される見込みだ。プラットフォームの中核部品は主に四川省で生産する」と羅琦院長は述べた。なお、中国核動力研究設計院は煙台市以外にも国内外の潜在需要家との間でフローティング原子力発電所建設に向け戦略協力協定に調印している。

 (四川在線 3月12日)