1. HOME
  2. 中国 【石油・天然ガス】

中国
【石油・天然ガス】

BPが中国企業と複数のLNG共同事業を検討中 (19/04/09)
2019/4/9
中国【石油・天然ガス】

 中国で開催された第19回国際LNG会議(LNG2019)に出席したBPのBob Dudley CEOは取材に対し、BPは中国へ天然ガスを輸出にする種々の事業に参加したいと表明した。BPは現在、中国企業と国際天然ガス事業協力について交渉を進めている。

 BPは中国にとって主要なLNG長期契約サプライヤーであり、中国のLNGターミナル事業に参加している唯一の外資企業でもある。BPは中国海洋石油と協力して広東省大鵬に中国初のLNG輸入ターミナルを建設し、中国のLNG輸入に先鞭を付けた。

 大鵬を皮切りに中国は21ヵ所のLNGターミナルを沿海地区に設け、2018年の中国のLNG輸入の増加量は世界のLNG貿易増加量の60%近くを占めた。世界の天然ガスサプライヤーは中国を主要な輸出目標と見ている。

 Bob Dudley CEOによると、中国は天然ガス輸入先を多元化して供給の安全を確保する必要があるため、大型LNG事業の上流部門への投資に参加することを選択している。20〜30年に及ぶ長期固定契約によって供給量を確保すると同時に、エネルギーコストを引き下げる算段である。

 BPは複数のLNG事業において対中供給の拡大を検討している。

 Bob Dudley CEOは、今回のLNG2019において中国石油天然ガス集団(CNPC)と会談を行い、オーストラリアBrowse天然ガス事業の共同開発をついて検討を進めていることを明らかにした。同事業が承認を得ると、中国への輸出を共同で進めることになる。

 もっとも、BPが中国のエネルギーメジャーとこうした協力を進めるのは初めてではない。BPがオペレーターを務めるインドネシアのタングーLNG事業や出資しているオーストラリア西北大陸棚事業(North West Shelf Project)にはいずれも中国国有石油企業も資本参加しており、タングーは福建LNGターミナルと、西北大陸棚事業は大鵬LNGターミナルと25年のLNG長期契約を結んでいる。

 また、Bob Dudley CEOは、中国石油御三家だけでなく華電など他の中国企業とも協力して中国のLNG輸入を手助けしていると述べた。近年、中国の民生及び工業分野の「煤改気」(石炭焚き設備のガス化)が巨大な天然ガス需要を喚起し、2018年の中国のLNG輸入は前年比40%以上の増加を記録した。Bob Dudley CEOは、中国の天然ガス市場にはもっと巨大な成長ポテンシャルがあるとの認識を示し、その理由として、中国の発電源に占める天然ガスのシェアは依然として極めて低く、わずか3%しかないことを挙げた。欧州の場合、20%になる。「中国のエネルギー系統は依然として石炭を中心に建設が進めてられている。そのため、もし天然ガスを発展させようとするなら、新しいインフラに巨額の投資を行うことが必要になる」とBob Dudley CEOは言う。

 オーストラリアは今やカタールを抜いて世界最大のLNG輸出国になり、中国にとって最大のLNG供給国になった。Bob Dudley CEOによると、グローバルLNG市場をめぐる競争が熾烈を極める中、BPはオーストラリアとインドネシア以外にも米国メキシコ湾やモザンビークの事業にも参画しており、一方、間もなく日本を抜いて世界最大のLNG輸入国になる中国は無視できないファクターになる。

 「これら事業をめぐってもBPは中国企業と交渉を進めており、共同開発が出来ればと希望している。また、アラスカの天然ガスを中国に輸出できるかどうかについても検討している。さらに、アルゼンチンに液化施設と埠頭を建設して中国へLNGを輸出することすら検討している。中国の天然ガスには極めて大きなチャンスがあるからだ」。

 中露天然ガスパイプライン東線は2019年冬には中国への天然ガス供給を開始し、パイプラインガスと輸入LNGの競争は激化することになる。しかしながら、Bob Dudley CEOは、中国は特定国が提供する天然ガスに完全に依存しないよう天然ガス供給の多元化を堅持しなければならないと指摘する。「中国はオーストラリア、インドネシア、米国、ロシアなどの諸国から天然ガスを受け入れることが出来る。一本のパイプラインのみに依存すると、そのパイプラインに問題は発生したらおしまいになる。BPは様々な事業において協力を進めたい」とBob Dudley CEOは述べた。

 なお、BPは海外だけでなく、中国国内においても四川盆地でCNPCとシェールガス共同開発を進めている。Bob Dudley CEOによると、同事業はBPの米国シェールガス開発におけるノウハウと技術を参考にしているが、四川地区は鉱区の構造が複雑であり、共同事業には課題が多いため、依然研究段階に止まっている。

 (中国能源網 4月9日)