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【石油・天然ガス】

持続可能な発展は中国石油化学産業の最重点 (19/05/13)
2019/5/13
中国【石油・天然ガス】

 2019年に入ってから、江蘇省や山東省で化学工業団地や関連企業を引き締めるべきとの声が次々と上がっている。4月中旬に開催されたグローバル石油貿易大会では、多くの専門家は製油能力の過剰が深刻であり、下流の化学工業の製品さえも相当大きい割合で生産能力過剰問題が存在すると指摘した。石油化学産業が「野蛮な成長」から卒業して健全で持続可能な発展の道筋を歩むよう様々な兆しから警鐘が鳴らされている。

 中国の石油化学産業が持続可能な発展を展開すべき必要性と実行可能性の条件はすでに成熟している。第1に、1990年代から現在まで30年近くにわたる急速な建設を経て、中国の石油化学工業には「大にして全」の構造が備わったものの、「高度・先端」にはなお遠い。第2に、石油化学産業の上流・下流市場の総合収益水準は安定しながらも低下傾向を呈しており、市場ギャップも最早供給不足ではなく、むしろ多くの部分は構造的な問題になっている。第3に、公衆の石油化学産業に対するイメージは産業の位置づけや発展のニーズと合致しておらず、そのことが産業の健全で秩序ある発展を制約している。

 中国の石油化学産業の持続可能な発展を進める上で次の3つのポイントに重点を置く必要がある。

 第1に、安全及び環境保護管理を強化しなければならない。

 第2に、石油化学産業の生産能力と市場の「走出去」(対外進出)を強力に推進しなければならない。加えて、東部と南部の経済発達地区に集中している化学工業企業を徐々に移転させなければならない。

 第3に、産業構造調整を適切に進め、生産能力の過剰を来している基礎化学工業分野で供給側構造改革を断固として展開しなければならない。また、精密化学工業、中間材料、新エネルギー、新素材等の分野で産学研の一体化を強化し、「大にして全」から「精鋭化・強力化」に修正しなければならない。

 中国石油化学産業の持続可能な発展は早くから進められてきたものの達成の道のりははるか遠い中、2019年は死活的に重要な1年になるに違いない。量から質への転換、技術革新の打開、安全・環境保護のグレードアップはいずれも2019年に窓口期を迎え、産業の持続可能な発展は様相を改める見込みである。正に「長風破浪會有時 直挂雲帆濟滄海(長風浪を破るに會ず時有り 直に雲帆を挂けて滄海を濟らん)」(李白の詩の一節。行路は苦しいが風が吹いて波を起こす時は必ず来る、その時は帆をかけて海を渡ろうという意味)である。

 (経済参考 5月13日)