1. HOME
  2. 中国 【電力】

中国
【電力】

中国が小型水力発電の整理是正を加速 5類型の開発制限エリアを明文化 (19/11/19)
2019/11/19
中国【電力】

 国家能源局のオフィシャルサイトによると、国家能源局総合司は先般「小型水力発電の持続的で健全な発展を促進する指導意見」案意見募集版を通達した。

 同案は、水力発電産業発展計画を強化して小型水力発電の合理的な部署を進めることを全体目標として位置付けている。計画及び計画の環境評価と事業との連動を保ち、生態環境保護措置を強化する。また、全ライフサイクルの安全と環境管理を強化するとしている。

 中国は1986年に2.5万kW以下の水力発電所を小型水力発電所と規定してその建設と管理に独自の政策を適用してきたが、長年の秩序なき違法開発のため、小型水力発電所に起因する生態環境の破壊は中央政府の環境保護監察の対象になり、社会の関心も集めている。

 中国の完成済みの小型水力発電所の中で長江経済ベルトの小型水力発電所が半分を占める。審計署(会計検査庁)の2018年6月の監査結果によると、2017年末時点で10ヵ省の完成済みの小型水力発電所は2.41万ヵ所に上り、発電所間の距離は最短でわずか100メートルになり、小型水力発電所は過剰開発状態にある。環境評価を経ないまま着工された小型水力発電所は8ヵ省で930ヵ所に上り、また、自然保護区に線引きされているにも関わらず建設された小型水力発電所は6ヵ省で930ヵ所になる。廃棄登記を行い運転を停止したにも関わらずダム等の建築物を撤去していない発電所は7ヵ省で426ヵ所に上っている。

 2018年12月、水利部、国家発展改革委員会、生態環境部及び国家能源局は「長江経済ベルトの小型水力発電の整理是正工作の展開に関する意見」を通達し、2020年末までに整理是正を完了するとの全体目標を提示した。

 今回の指導意見は、長江経済ベルトの小型水力発電整理是正行動の実行を基礎として、国内の小型水力発電の持続的で健全な発展をより一層促進するための意見を提示したものであり、計画的指導の役割の強化、中小河川の小型水力発電計画の秩序ある展開、開発と保護の総合的な計画、適正な開発の堅持、開発制限エリアの明文化、環境影響評価の強化の5項目の原則を打ち出している。

 通達は次の5類型の小型水力発電開発制限アエリアを明文化している。

 まず、開発程度の高い東中部地区は原則として小型水力発電開発を停止する。水力発電電力の廃棄が深刻な地区は小型水力発電開発を当面停止する。

 次に以下は開発制限エリアとする。

  • 自然保護区、景観区、文化自然遺産、地質公園、森林公園、希少固有魚類の集中産卵場及びその他の特別な保護価値を備える地区
  • 国家主体機能区、生態機能区の中で開発禁止に指定されたエリア
  • 重要生態機能区及び生態脆弱区

 電力が不足し電力網から離れている僻遠地区、特にチベット地区、新疆地区、貧困地区は現地の実状に応じて水力発電の適正な開発を進める。

 (中国能源報 11月19日)