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中国国家電網が電力網投資に急ブレーキ 電力網の情報化建設時代が到来 (19/12/04)
2019/12/4
中国【電力】

 国家電網有限公司は先般「電力網投資のさらなる厳重規制に関する通達」を示達した。

 通達の名称から分かるように、国家電網公司は電力網投資を厳重に規制しなければならないと明確に打ち出している。その一方で、送配電価格改革と値下げに主動的に適応して、企業の経営業績を高めなければならないとしている。

 上海証券時報が取材した国家電網系の複数の関係者や電力・新エネルギーの専門家によると、電力網への大規模投資の時代は過ぎ去りつつあり、ユビキタス電力IoTに象徴される電力網の情報化建設時代はすでに到来している。また、大衆の視野に未だ入っていない総合エネルギーサービスは今や国家電網の2番目の主業務になっている。

 電力網の大規模投資による発展方式は今後持続が難しい。

 国家電網の2019年の発表によると、2019年の計画総投資額は5,909億元、うち電力網への投資は5,126億元であった。それが年度末になって急に方向を変えたのはなぜなのか。

 その答えは今回の通達の中にある。電力消費の伸びは低迷が続いており、電力網業務の利益率は大幅に低下している。また、度重なる送配電価格の引き下げで、赤字の子会社が増えており、投資能力の低下が続いている。電気料金引き下げに対する期待は社会全体に広がっており、電力消費の急速な成長に依存して大規模投資を支える発展方式は持続し難い。

 国家電網系の関係者が明らかにしたところでは、2019年に国家電網公司傘下の複数の省クラス企業が赤字に陥り、赤字額は合計で100億元を超えている。

 こうした現実に直面した国家電網公司は投資を電力価格水準並びに収益能力をリンクさせ、傘下企業に対し、純利益を中核に据えて、送配電価格を引き上げることなく、投資能力を厳正に試算するよう求めることになった。

 国家電網公司は次のように求めている。

  • 投資計画の埒外で送配電資産のリースを行ってはならない。
  • 投資、リースもしくは契約型エネルギー管理等の方式によって電力グリッド側化学的蓄エネルギー施設の建設を行ってはならない。
  • 揚水式蓄エネルギー事業に着工してはならない。
  • 建設中事業の投資ペースを最適化しなければならない。
  • 短期収益の不明朗な事業を大幅に圧縮する。
  • 架線の地下化など投資のコストパフォーマンスの低い事業を大幅に圧縮する。
  • 小型基礎建設など生産補助的事業を大幅に圧縮する。

 2019年初頭に国家電網公司はユビキタス電力IoT建設大綱を発表し、情報化建設を加速するとのシグナルを発した。2019年第3四半期以降、国家電網公司所属企業はユビキタス電力IoTの設備や情報サービスの入札公告を出し始めている。

 「将来の電力網投資に構造的な変化が発生する。ユビキタス電力IoTの建設に関わるスマート化や情報化分野の投資シェアは大幅に上昇するだろう」と鄧永康氏率いる安信証券の新電力産業グループは見通しを示している。2019年と2020年は国家電網公司の戦略転換の鍵になり、ユビキタス電力IoT建設が最優先の任務になる。情報化投資は現在の年間150億元から向こう3年間で600億元に増えると予想される。

 (証券時報網 12月4日)