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中国
【新エネルギー】

油価高騰によりDMEの競争力が再評価 (08/05/12)
2008/5/12
中国【新エネルギー】

 国際原油価格が1バレル120ドルを突破しているが、油価高騰によってDMEは再評価のチャンスに直面している。11日開催された「国際メタノール・DME・LPG産業連鎖市場サミット」で昨今のDME事情を探った。

 同サミットを主催した中国化工網のデータによると、2006年の中国のDME生産能力はわずか44.5万トンであったが、2007年には394%増の220万トンとなり、今年は436万トンになると見込まれる。さらに、2009年には784万トン、2010年には1,484万トンに拡大すると予想される。

 DMEの生産能力の急拡大は高油価時代の到来と無縁ではない。中国石油化学工業規画院の白頤副院長によると、国際石油価格の高騰によってLPGの内外価格差が大きくなり、2005年からLPG輸入量は年々減少し始め、2006年の輸入量は前年比13%の減少となった。このため、DMEは、LPGの代替品として発展のチャンスを迎えている。

 白頤副院長によると、2000年のブレント原油価格が1バレル28.63ドルだった頃、LPGの税込み価格は3,124元/tであったが、一方、当時のDMEの市価は3,200元/tで、DMEの競争力は低かった。しかし、2008年4月に国際原油価格が110ドルに高騰するとLPG輸入価格は6,960元/tになり、さらに120ドルを突破するに及んで、LPG輸入価格は7,000元/tの大台に乗っている。こうした状況の下で、DMEの競争力はますます顕著になってきたのである。

 その上、中国の石油対外依存度が高まる状況にあっては、自動車用の軽油代替燃料としてのDMEの意義もますます重要になってきた。DMEは、自動車用代替燃料として、燃費、利便性、清潔さ、動力性能といった面で、液化ガス、天然ガス、メタノールやエタノールに比べると、総合点で卓越している。

 中国の石油製品消費の中で軽油は約69.2%を占め、2007年の見掛け消費量は1億2,466万トンに上った。しかも、軽油消費量は急増を続けており、2010年には1億4,000万トンになると見込まれる。「DMEの当面の利用分野は民生用ガスとするが、将来的には自動車用軽油の代替に広げていくべきである」と白頤副院長は言う。白副院長の予測によると、2010年から2015年にかけてDME自動車は急速に発展し、2015年には自動車用DME需要は500〜700万トンになる。もっとも、自動車にDMEを使用する場合、エンジンや車種の交換が必要であり、また、加圧貯蔵・輸送の制約も受ける。そのため、自動車用DMEの普及はメタノールの場合よりも難しく、当面の研究ペースでは未だ大規模な産業化のレベルに到っていない。

 その他にも、国家化工産業生産力促進センター石炭化学部副主任の申同賀教授は、石炭化学工業が当面はガソリンや軽油の基盤を動かすことが出来ないことや、DME関連基準が未だ十分制定されていないことなどの問題があり、盲目的なDME事業の立ち上げには一定のリスクが潜在すると指摘、そのため、DMEプラント1基の生産能力が年産20万トンを超えないようにすべきであると説く。

 (上海証券報 5月12日)