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【新エネルギー】

中国の石炭液化に新たな技術路線 コールタール軽質化プロジェクトが本格稼働へ (08/05/19)
2008/5/20
中国【新エネルギー】

 独自の知的財産権を有する陝西楡林神木錦界天元化工有限公司の年産25万トン・中温コールタール軽質化プロジェクトが試験生産に成功した。コールタールによる石油製品生産が実現する見通しであり、中国の石炭液化技術に新たな路線が生まれることが期待される。

 中温コールタール軽質化プロジェクトでは、楡林地区の豊かな石炭資源を活用して、直立炉乾留技術によって半成コークス、コールタール、コークス炉ガスを生産し、コークス炉ガスから水素ガスを精製する。そして、二段階の水素添加及び廃油クラッキング技術によって、コールタールと触媒剤の作用で水添反応を起こし、軽油やナフサ、液化ガス等を分留する。この技術により、コールタールの付加価値が上昇する。また、この技術では生産過程から出る排気ガスを回収利用するとともに、工業排水もゼロになり、従来のコールタール加工に付きまとっていた汚染問題を根絶することが可能になる。

 陝西楡林神木錦界天元化工有限公司のこの二段階水添廃油クラッキング技術は国内初であり、コールタールの転換率は93%になる。すなわち、1トンのコールタールから930kgの石油製品を生産できるのである。今回のプロジェクトの試験生産成功により、石炭とコールタールの高度化工の新たな道が開かれ、中国の石炭化学の発展と石油代替資源の開発にとって、意義は大きい。

 なお、陝西楡林神木錦界天元化工有限公司のこのプロジェクトは最終的に年産50万トン規模になり、50万トンの高品質コールタールを加工して、石油製品46.5万トン、液化ガス2.9万トン、石油コークス7万トンを生産することが可能になる。

 (中国石油新聞中心 5月19日)