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【新エネルギー】

中国の再生可能エネルギー 4つの大きな課題とその対策 (08/07/24)
2008/7/25
中国【新エネルギー】

 エネルギー価格が大幅に高騰し、省エネ・排出削減圧力が絶えず拡大する中、中国の再生可能エネルギー計画が注目を集めているが、再生可能エネルギーが在来型エネルギーにどの程度代替できるのか、開発に伴う難題をどのように解決するのか、問題は多い。こうした点について、国家発展改革委員会能源研究所の元所長であり、中国再生可能エネルギー大規模開発事業管理弁公室主任である周鳳起氏に話を聞いた。周鳳起氏によると、中国の再生可能エネルギー開発は次の4つの難題に直面している。

 (1) 電力網建設をめぐるボトルネック突破が必須

 西南地区の水力資源、東北、華北、西北や沿海部の風力資源やチベット、青海、新疆等の太陽エネルギーなどいずれも開発潜在力が大きいが、開発に当たっては電力網がボトルネックになる。つまり、発電した電力を輸送することが大きな課題である。

 (2) 食糧セキュリティに危害を及ぼさないバイオマスエネルギー開発

 バイオマスエネルギー開発はエネルギー開発の面だけでなく、農村の経済発展や農民の増収にとっても有効だ。農林廃棄物による環境汚染を緩和することも出来る。但し、開発に当たっては規模に留意する必要がある。メタン発酵ガスは飼育場の大規模開発に依存する。ソフトバイオマス発電は規模が大きすぎるのは良くない。原料収集コストが大きくなるからだ。

 バイオマスエネルギーをめぐっては、米国がバイオエタノール開発のため国際穀物価格を高騰させたと非難されている。中国は穀物を利用する燃料の開発をすでに停止した。今後は甘コーリャンの茎やイモ類など非穀物系バイオマスを原料にしてエタノールを生産し、ヤトロファ、オウレンボクや菜種等を原料としてバイオディーゼルを生産する。

 (3) 風力発電はコスト引き下げが必要

 高すぎるコストは再生可能エネルギー開発にとって最大の障害だ。再生可能エネルギーの電力利用では、風力発電が最も商業化が進んでいるが、コストは火力発電よりも高い。ソーラー発電はさらにコストがかかり、火力発電の数倍から10倍になる。コスト引き下げこそが再生可能エネルギー大規模開発の鍵になる。

 風力発電は大規模開発によって短期間で大幅にコストを引き下げ、市場競争を展開することが可能になる。2010年には価格面で火力発電と競争できるようになるだろう。

 中国の風力発電は主要部品を輸入に依存している。コスト打開の鍵は技術にある。技術の進歩を促進し、装備の国産化を進めることが風力発電開発の基本方針になる。また、ソーラー発電の場合、パネルの効率が低いことはコスト高の主要要因だ。重点研究を通して産業化を支援し、速やかに高純度の多結晶シリコン材料の生産技術を把握して大規模生産を実現する必要がある。

 (4) 再生可能エネルギー開発に対する総合的インセンティブ策が必要

 再生可能エネルギー技術は未成熟であり、投資のリスクが大きく、コストも高い。市場に委ねるだけでは、発展の余地は限られる。インセンティブ策が不可欠であり、政府が主導的役割を発揮しなければならない。中国は、優遇税制、専門基金等の再生可能エネルギー開発支援策を打ち出しているが、まだまだ不十分であり、体系も整っていない。一層の強化と補強が必要である。

 インセンティブ策の中でも再生可能エネルギーの価格問題が極めて重要だ。特に風力発電は大規模開発段階に進んでおり、売電価格が風力発電産業の発展に決定的な影響を与える。風力発電価格の決定方法については、公開入札による価格決定、固定売電価格、割当取引価格の3つのモデルがある。以前実行されていた公開入札による決定方式は、風力発電価格の引き下げにとっては有効であるが、規模拡大にとっては不向きだ。この価格決定モデルは目下調整を進めている。最終的な価格決定モデルについては未だ検討が続いているが、固定売電価格方式になる公算が大きい。

 (中国石化新聞網 7月24日)