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【電力】

中国経済減速で発電用石炭需要減 エネルギー価格改革の好機に 年末には電気料金再値上げの公算 (08/09/28)
2008/9/30
中国【電力】

 秦皇島港には石炭が滞貨の山となっている。9月21日の石炭在庫は通常より300万トン以上多い871万トンになり、26日には940万トンを突破した。遠からず限界の1,000万トンに達するだろう。

 石炭の中継拠点である秦皇島港に発電用石炭の大量の滞貨が発生しているのは、価格高騰のため発電企業が買いたがらないせいなのか、それとも経済減速による需要低下が原因か、国の政策決定部門は注意深く見守っているところである。

 国家能源局総合司の周喜安司長は26日、秦皇島の発電用石炭在庫の過剰は新たなエネルギー問題になっていることを認め、このことは、タイトであった発電用石炭供給の一時的緩和の表れであるのか、それとも全体的な経済減速開始のターニングポイントになるのか、検討を要すると指摘した。

 石炭在庫の過剰は、北京オリンピックに伴う生産制限とも関連している。北京、天津の8月の電力使用量は前年同期比でマイナスとなった。オリンピック閉幕後も操業再開が遅れている企業があるが、これは全体的な経済減速と関連しており、電力需要の増加には時間がかかると華能集団の発電所の関係者は言う。

 もとより、電力需要の低下は、直接的には石炭価格の高止まりと、発電用石炭価格システムが合理化されていないことが大きな原因である。秦皇島港務局の担当者は、特に南方地区にとって発電用石炭価格が依然として高すぎるため、電力企業は石炭を買い控え、その結果、電力の供給と消費の伸びに影響が出ていると指摘する。

 この数年、石炭価格が上昇を続け、タイトな電力供給状況が続いたのも、2001年以降の中国経済の急成長が原因である。特に2007年のGDP成長率はこの5年間で最高の11.9%に達し、同年の電力使用量の伸び率はGDP成長率を3ポイント以上も上回る14.8%となった。

 然るに、今年8、9月には電力需要が低下し、発電用石炭在庫が増えている状況となっている。

 秦皇島港の5,500kcalの発電用石炭価格はすでに前月よりも100元以上安い860〜930元に下がった。しかし、それにも関わらず、発電用石炭の売れ行きは悪い。となれば、考えられるのは、経済成長、特に工業生産の伸びが減速したことによる影響である。8月の全国の電力使用量の伸び率は大幅に低下した。全国の一定規模以上の発電所の発電量は前年同期比5.1%増加したに過ぎず、伸び率は6、7月に比べ3ポイント前後下がったことになる。

 石炭と電力の需要は経済減速の影響から逃れられないが、石炭、電力需要低下は電力改革の好機でもある。中国能源網の韓暁平CEOは、これを機に速やかにエネルギー価格の合理化を進めるべきであると説く。

 電力監督管理委員会の幹部は先頃、民生用電気料金が間もなく値上げされると表明した。政府筋も、天然ガス国際価格がすでに500$/千m3に上昇しているのに対し、北京の小売価格は1.9元/m3であり、値上げの余地は大きいと指摘した。

 但し、長期的に見て、石炭採掘のペースは発電所の建設よりも2年余り遅れを取っているため、全国的な発電用石炭供給のタイトな状況は続くとエネルギー部門関係者は指摘し、原子力発電の大規模開発こそが解決方法になると言う。

 電気料金は、前回の7月1日の値上げに続き、年末に再び引き上げられる見通しである。1kWh当たり0.04〜0.05元引き上げられ、電力系統に対する補助金は撤廃されるだろう。消費者物価指数(CPI)が低下傾向にある中、電気料金値上げもいよいよスケジュールに上っている。また、売電価格も0.015〜0.02元引き上げられるだろう。

 (南方網 9月28日)