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【新エネルギー】

中国 バイオマス発電企業が燃料コスト高で窮地に (09/06/02)
2009/6/3
中国【新エネルギー】

 国家級バイオマス発電モデル事業である江蘇国信如東有限公司のバイオマス発電事業は昨年7月に運転を開始したが、発電量が増えるほど赤字が膨らみ、わずか半年で1,500万元もの赤字になった。

 如東バイオマス発電事業は総投資額2.99億元。当初は年間17.6万トンのソフトバイオマス(ワラ・茎など廃棄物)を利用して1.7億kWhの電力を生産し、二酸化炭素約10万トンを削減して農民に5,000万元余りの収入をもたらす計画であった。資源利用や環境保護の面で大きな期待が寄せられていた。

 しかし、同発電所燃料部の張軍部長によると、ワラ・茎の価格が高いため、発電所の赤字が急速に増えている。運転開始以来、発電所のワラ・茎平均買入価格はトン当たり305〜315元に上る。発電コストは1kWhにつき0.9元、国からの補助金はわずか0.25元で、1kWh当たり0.2元に赤字になる。つまり、発電すればするほど赤字は大きくなり、半年間の赤字は1,500万元に膨らんだ。今年はなんとか赤字を2,000万元以内に抑えたいとのことである。

 バイオマス発電所にとって、ワラ・茎の買入にはジレンマが付きまとう。買入価格が低いと農民はワラ・茎を売ろうとはしなくなる。買入価格が高いと、発電所の赤字が膨らむ。如東バイオマス発電所の損益分岐点はワラ・茎価格トン278元であるが、現在300元になっている。それでも農民は余り積極的にワラ・茎を売ろうとはしない。輸送費がかるため、ワラ・茎1トンを売っても農民の収入になるのはわずか160〜200元でうまみが少ない。現在、如東県の平均日給は50〜60元であり、ワラ・茎にかける時間と労力を考えると、経済的に割に合わないのである。したがって、ワラ・茎の買入価格を抑えてバイオマス発電所のコスト圧力を軽減しようとしても効果がないことは明らか。

 その上、バイオマス発電所の乱立も目に付く。如東バイオマス発電所とともに国家バイオマス発電モデル事業に指定されたのは全国でわずか3社だけであるが、今や江蘇省だけでも8社がバイオマス発電を操業し、軒並み赤字になっている。

 そうした状況にも関わらず、江蘇省内で複数のバイオマス発電事業の建設や計画が依然として進められている。

 江蘇省発展改革委員会エネルギー処の関係者によると、中国のバイオマス発電はまだ緒に付いたばかりであり、産業化、商業化のレベルが低く、完全な市場化によって生存と発展を求めることは難しい。

 専門家は、バイオマス発電は国の奨励する資源総合利用方式であり、次のような政策措置を適用すべきとしている。第1に、「再生可能エネルギー法」や「国家奨励資源総合利用認定管理弁法」に基づき、農林バイオマス発電に対する付加価値税の還付や所得税減免などの優遇措置を採る。第2に、現行の売電価格ではバイオマス発電所の正常な経営を維持することが難しいので、バイオマス発電の売電価格を適時調整する。第3に、「グリーン電力証書」制度を設ける。

 (中国網 6月2日)