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【論説】一進一退の中露エネルギー協力 成否の鍵は価格問題 (07/10/18)
2007/11/22
中国【石油・天然ガス】

東シベリア−太平洋石油パイプライン(タイシェト−ナホトカルート)の建設、天然ガス供給交渉、ロシアから中国への電力の輸出など、中露エネルギー協力は一進一退を繰り返している。

 「ロシアは従来の計画通り、期限に従って中国側とのエネルギー分野における合意を履行する」とロシア副首相ジューコフは表明した。ロシア側は再三にわたって同様の表明を繰り返している。

 しかし、事後に法規を制定して、事前の合意を覆すのはロシアの常套手段である。

 ロシアは、中国の拡大する天然ガス需要はロシアに極めて大きな利益をもたらすと見ている。昨年3月、ガス供給に関する中露覚書に調印したことは、ロシアが世界の天然ガス市場を開拓する上で重要な一歩となった。

 しかし、ロシア側は今月上旬、アルタイ天然ガスパイプライン(中国向けパイプラインの西ルート)に来年着工すると宣言したものの、中露双方は今に到るも価格問題で合意に達していない。

 また、ロシアは今年6月、「東部地区発展要綱」を策定した。同要綱は「東シベリア地区並びに極東地区において、天然ガスの採掘、輸送及び中国やその他のアジア太平洋諸国に対する輸出の統一的な供給システムを確立する」ことを主眼としているが、このため中露間の天然ガス供給は極めて複雑なものに様変わりしただけでなく、成約済みのサハリン1プロジェクトから中国に対する年間80億m3の天然ガス輸出計画も流産を迫られている。

 サハリン1のオペレーターであるエクソン・モービルと中国側が天然ガス供給に関する合意文書に調印したのは、東部地区発展要綱が策定される前であった。しかし、ロシア工業エネルギー省次官デメンティエフは、東部地区発展要綱が打ち出されるや直ちに、エクソン・モービルはサハリン1プロジェクト枠で採掘される天然ガスを中国に輸出することは出来ないと表明、その理由を「ロシアの法律に違反する」からであるとし、あらゆるエネルギー開発企業は統一的な輸出システムの下で運営されなければならないと述べた。

 送電プロジェクトも実施に移されるかどうか疑問である。ロシアから中国への電力輸出は2005年7月に合意されたが、価格交渉は今なお継続している。

 9月、ロシアの電力会社ロシア統一エネルギーシステムの副会長ドラチェフスキーは第1段階の大規模な対中電力輸出を来年開始すると述べたが、しかし、それから数時間後、ロシア経済発展貿易省価格統制インフラ改革局局長アスキナゼーは対中送電プロジェクトに対し、投資の見通しがはっきりしていないことを理由に強い疑義を呈した。

 ロシア極東地区余剰電力の対中輸出の見通しについてはロシア上層部でも意見がまとまらず、中国側は交渉において、あまり多くの電力を必要としているわけではなく、まして高価な電力は必要としないと表明していた。このため、ジューコフ副首相は「中国との電力交渉は極めて困難になる」としたものの、10月1日には北京において、ロシアは中国と送電合意に達するよう希望すると表明した。

 対中石油パイプライン支線建設の成否もまた価格によって決まる。

 タイシェト−ナホトカ線の対中送油支線着工時期も再三にわたり先延ばしされている。ジューコフは、11月5日の中露首相会談期間中にスコボロジノから中国へのパイプライン建設に関する中露間の合意文書に調印できるとしている。しかし、彼は一方では、この合意は石油の供給量や価格には関係がないと指摘し、「我々にはこのパイプラインの敷設に反対する理由は全然ないが、しかし、石油供給の価格と数量等の問題はロスネフチと中国石油天然ガス集団(CNPC)が決めることだ」と述べた。ジューコフは、石油供給価格をめぐる中露双方の隔たりは相当大きく、ロスネフチにとって欧州に輸出する方が利益は大きいと指摘、「もし双方が価格で折り合いが付かなければ、対中支線の着工に影響が出る可能性は否定できない」と述べた。

 なお、ロスネフチは先月初め、現在の鉄道方式による対中石油輸出価格に対する不満を明らかにし、もし中国側が現行の石油購入価格にこだわるのなら、契約期間の終了する2010年以降契約を更新するつもりはないとしている。

(中国能源網 10月18日)