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【新エネルギー】

吉林燃料乙醇のセルロース系エタノールプロジェクトが着工へ (11/10/18)
2011/10/20
中国【新エネルギー】

 吉林燃料乙醇のセルロース系エタノールプロジェクトが近日着工される見込みである。これにより、中国の非穀物系エタノール技術開発の新たな道が開かれる。同公司発展規画部の白殿国部長によると、中国には燃料エタノール企業が5社あり、うち広西がキャッサバ系エタノールを生産しているが、それ以外はいずれも穀物を原料としている。食糧セキュリティの確保に対する呼び声が高まる中、非穀物系合成路線は燃料エタノール産業の未来の発展方向になっている。非穀物系原料の中でもセルロース原料は最も発展の見通しが広がっていると考えられており、国内外においてこの分野に多くの人材や科学研究費が投入されている。

 吉林燃料乙醇は甘コーリャンのくずわらによるエタノール生産で打開と進展を遂げ、3年間の実験を経て中間試験プラントを完成させ、各種指標に合格する製品を生産している。

 「しかし、プロジェクトの進行過程において、原料の貯蔵や輸送、固体発酵法などの制約により、プラントの規模は限られ、工業化実験を行うことが出来ない。大規模生産を進める上でコア設備に一定のネックが存在している。試験生産した製品はコストが高く、経済性に達していない。引き続き重点技術研究を強化する必要がある」と、白殿国部長は言う。

 もっとも、白殿国部長によると、吉林燃料乙醇のセルロース系エタノール事業は3つの大きな優勢を備えている。第1に原料。吉林燃料乙醇はトウモロコシ生産の黄金地帯にあり、周辺地区では年間360万トンのくずわらが発生している。その中で約75%が農民の燃料や飼料、あるいは工業原料に利用されているが、残りの資源によって年間12万トンの燃料エタノールを生産することが出来る。セルロース原料は相対的に充足しており、輸送の範囲も理にかない、調達ルートは多岐にわたる。第2に技術。吉林燃料乙醇は中国初の燃料エタノールモデル企業として、豊かなエタノール製造技術を積み重ねている。とりわけ甘コーリャンのくずわらによるエタノール開発において、専門技術とイノベーション能力に優れる専門人材群を鍛錬してきた。

 「非穀物系エタノール技術の研究開発は順風満帆には行かない。我々は共同努力と模索によって早期に工業化実験を成功させ、中国の代替エネルギーの発展やエネルギー不足問題の解決に貢献したい」と、白殿国部長は述べた。

 (中国石油報 10月18日)