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中国のエネルギー所管部門が再生可能エネルギー電力割当制度の実施を検討 (12/02/15)
2012/2/17
中国【新エネルギー】

 国のエネルギー部門が目下起草を検討している《再生可能エネルギー電力割当管理弁法》は、再生可能エネルギーが直面する発電、系統連系並びに市場消化の3大問題の解決を図ることになる。

 本紙記者の独占取材によると、再生可能エネルギー電力割当制度の設計構造はすでに形を成している。国のエネルギー部門は、《再生可能エネルギー電力割当管理弁法》の制定を検討しており、再生可能エネルギーが直面する発電、系統連系並びに市場消化の3大問題の解決を図ることになる。

 発展改革委員会に近い筋のエネルギー専門家が記者に明かしたところでは、再生可能エネルギー割当制度の基本構想は次のようになる。国は発電企業、電力網企業、地方政府の3大主体に対し、拘束的な再生可能エネルギー電力割当要件を提示する。すなわち、発電企業に対して再生可能エネルギー発電を義務付け、電力網企業に対して電力買取を義務付け、電力消費者に対して再生可能エネルギー電力の使用を義務付ける。制度設計においては、割当指標の取引と流動及び取引収入の獲得を許容する。

 割当任務の達成状況に対する審査については、国が電力運行の実際のデータを基準として、3大主体の割当達成状況の審査と評価を行うことになる。

 国家第12次5ヵ年規画綱要は、2015年の一次エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの比重を11.4%にするという目標を打ち出している。この目標を実現するため、国は再生可能エネルギーの発展のために一連の制度刷新を進めることになり、再生可能エネルギー割当制度もその一つである。国家能源局新エネルギー・再生可能エネルギー司の梁志鵬副司長が明らかにしたところでは、再生可能エネルギー割当制度施行の枠組みは基本的に確定しており、今年初めに施行される公算である。

 「3大主体」に割当を義務付け

 再生可能エネルギー割当制度とは、国もしくは地方政府が法律の形式により再生可能エネルギー発電の市場シェアに対して適用する義務的な規定であり、総電力の中で所定の比率の電力を再生可能エネルギー発電としなければならないとするものである。

 国のエネルギー部門の全体設計構想によると、割当管理を適用する主な範囲は、系統連系を行う水力発電以外の再生可能エネルギー発電であり、風力発電、ソーラー発電、バイオマス発電、地熱発電、海洋エネルギー発電等が含まれる。水力発電が除外されている理由は、水力発電の技術と産業がすでに相当成熟しており、国の現行の計画を適用すれば、その他の特殊な政策支援は必要ないからである。

 国のエネルギー部門は、再生可能エネルギー発電割当主体の選択に当たっては、電力網企業を再生可能エネルギー電力割当の実施主体とする。また、一定規模の発電投資企業を再生可能エネルギー発電割当義務の主体とし、電力網企業の電力供給を保証する。

 再生可能エネルギー電力の合理的な消化を確保するため、を、再生可能エネルギー電力割当消費義務の行政責任主体とする。各省・自治区・直轄市政府は、割当達成の実施方案を実行し、各省クラス電力網企業の割当指標達成について協調と督促を行うことを任務とする。

 国のエネルギー所管部門は、割当主体を確定した上で、各省・自治区・直轄市に対して、再生可能エネルギー電力割当指標を提示するともに、審査を行う。

 審査方式については、国務院エネルギー所管部門が監察、統計、会計検査部門及び国有資産監督管理委員会、国家電力監管会等の機関と合同で、省クラス政府、電力網企業、電力投資企業の割当指標達成状況について総合評価を行い、その結果に応じて相応の賞罰を行う。

 同時に割当指標の達成状況を省クラス政府、電力網企業、発電企業の考課システムに盛り込む。各省・自治区・直轄市の人民政府はそれぞれの省・自治区・直轄市の割当指標実施方案を、責任をもって実現しなければならない。また、国家級電力網企業は所属の省クラス電力網企業すべての割当達成に対して責任を負う。

 中国の再生可能エネルギー割当制度は外国の経験を参考にする。公開情報が示しているように、英米豪伊などの諸国はいずれも義務的な再生可能エネルギー電力割当制度を実施している。英国は電力事業者に対し、再生可能エネルギー電力の販売に義務的なシェアを適用しており、2011年は12.4%であった。

 再生可能エネルギー発電割当制度を実施する上で、割当義務主体が供給、購入、使用する電力の中で水力発電以外の再生可能エネルギー発電の具体的な数量を国がどのように規定するかが核心になる。

 「まず、国が再生可能エネルギー発展目標及びエネルギー消費総量の指標に基づいて、全国の再生可能エネルギー発電割当総量を試算する。次に省・自治区・直轄市を単位として、再生可能エネルギー電力消費割当の分配を行う。各地区の割当の総量がどの程度かは、エネルギー消費総量分担の原則に類似する」と、前出のエネルギー専門家は言う。

 分配過程において主に考慮しなければならないのは、各地の自然環境、資源賦存、人口分布や経済水準の差異である。原則として、資源条件の異なる省に対しては異なる指標を適用する分配方案を採用する。同じ類型の省については同等の再生可能エネルギー電力消化義務を負わせることになる。

 電力網企業については、保障的な買取割当指標とは、企業の経営エリアがカバーする範囲内の再生可能エネルギー割当指標の総合を言う。電力網企業は指標をさらに省クラス電力網公司並びに区域電力網公司に分担させる。

 専門家の試算によると、2020年の中国の一次エネルギー消費総量を50億tce(標準炭換算トン)とし、2015年の発電企業(500万kW以上)の発電量の10%を再生可能エネルギー電力とする場合、2020年の割当指標は15%になる。

 電力網企業については、2015年末の再生可能エネルギー電力の最低比率は、国家電網が6%、南方電網が3%、内蒙古電網が15%になり、2020年の最低割当比率は、国家電網10%、南方電網6%、内蒙古電網20%になる。

 その他にも、ある専門家は、「割当指標の確定に当たっては、国の合理的なエネルギー消費総量規制並びにエネルギー消費構造調整のマクロ目標と相互に協調させるべきだ。同時に、風力発電、ソーラー及びバイオマスエネルギー等の発電産業のバランスの取れた発展を確保すべきだ」と提言する。

 地方の再生可能エネルギー消化の積極性を引き出すためには、再生可能エネルギー発電を各地区のエネルギー総消費量並びに排出量と相殺することを規定しても良い。

 割当制度は再生可能エネルギーの発展を促進する新たな政策であるが、依然として行政成績評価の手段でもある。「計画の指針性を備え、割当制度が完全に定着するかどうかは依然として多くの不確実性がある。再生可能エネルギー法は電力網企業の再生可能エネルギー電力全量保障買取を規定しているが、「棄風」(訳注:風力発電機が正常に稼動しているにも関わらず、現地の電力網の消化能力不足や風力発電所と電力網建設のミスマッチ、電力風力発電の不安定などで、風力発電機が一時停止すること)などの現象は依然頻発している」と、華電集団の政策研究関係者は言う。

 (21世紀経済報道 2月15日)