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中国
【新エネルギー】

試練にさらされる中国のバイオジェット燃料 (12/02/17)
2012/3/6
中国【新エネルギー】

 石油化学業界と航空業界の連携を強化して低炭素バイオ燃料の供給を確保することは、EUの炭素税が航空会社の経営に与える衝撃に対応し、航空業の競争力を保持する上で有効な手段に一つである。しかしながら、当面の発展現状を見ると、中国のバイオジェット燃料産業は次のような3つの大きな試練に直面している。

 第1に、生産技術の打開が待たれる。例えば、セルロース系エタノールや海藻による生産技術は未成熟であり、地溝油(下水油)は動物油、植物油等の成分が混じり、精製技術面の難度が高い。中国石油化工 (SINOPEC)のバイオジェット燃料技術は大きな進展を遂げたものの、大規模な応用には時間がかかる。

 第2に、大きな資金を要し、原料供給ルートが順調でない。バイオ航空燃料の開発と生産には巨額の資金投入を要する。また、中国国内には成熟したバイオ燃料の原料供給システムが未だに確立されていない。

 第3に、価格とコストの「ボトルネック」が長期化している。大規模生産が未だ実現していないため、バイオジェット燃料の価格は鉱物系燃料を上回っている。航空会社にとって最も大きいコストはジェット燃料であるが、高い価格がバイオジェット燃料の大規模な応用と普及を妨げている。

 EUによる航空会社への炭素税課税は、航空会社の経営コストを増やすのみならず、エネルギー構造転換のシグナルでもある。EUと各国との炭素税課税をめぐる摩擦は、単一の事件に止まらず、深層レベルにおいてエネルギー構造の転換を反映する問題である。

 中国の石炭消費の規模と比重は大きいままであり、石油対外依存度はますます上昇し、省エネ・排出削減の任務は極めて厳しい。こうした中で、バイオジェット燃料も含むバイオマスエネルギー産業を積極的に発展させ、エネルギー供給の多元化を推進することは、エネルギー不足に対応する有効な方途であるのみならず、省エネと排出削減目標を実現する上でも重要な手段になる。

 (中国石化報 2月17日)