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【電力】

電力送配分離改革がスタート 発展改革委員会が専門チームを設置 (12/03/30)
2012/4/13
中国【電力】

 本紙記者が国家発展改革委員会に近い筋に対して行った独占取材によると、国家発展改革委員会はすでに「電力送配分離専門改革チーム」を設置し、送配電分離計画案について研究、策定を進め、実験作業を推進する。

 今年の政府工作報告でも「電力事業改革の推進」が明確に打ち出されている。また、国務院の《2012年の経済体制改革深化重点工作に関する意見》も、今年は「電力体制改革を深化し、送配電分離実験を穏健に展開する」としている。国務院の分担に従って、電力体制改革の任務は、国家発展改革委員会、国家電力監督管理委員会、国家能源局等の部門が責務を負い、発展改革委員会が牽引する。発電所と電力網の分離と、主業務と補助業務の分離が一段落を告げて以来、電力改革は送配分離という「深海区」に進む。しかし、この点について業界と政府内で意見は決して統一されてはいない。
 送配分離の支持者の考えによると、送配分離は送配コストを明確にし、合理的な電力価格を形成する上で有利である。送電、配電、小売が一つの企業に集中していると、各プロセス間に大量の相互補助や関連取引が生じ、各プロセスのコストの構成を区別することが難しい。企業効率の視点からすれば、送配分離を行えば、各プロセスの収益状況は一目瞭然になる。

 今のところ中国は未だ独立送配電価格を制定しておらず、送配電価格は小売電力価格と系統連系価格の販売差額になる、送配分離を支持する観点からは、このような試算方式では電力送配プロセスの真実のコストを反映させることが難しく、電力の市場化改革を徹底的に推進する上で不利にあると考えられている。一方、送配分離の反対者は、送電と配電を分離した後も結局新たな独占が形成されて、取引コストが増え、監督管理が難しくなり、場合によっては電力配置や供給の安全に影響することもあると考えている。ある電力専門家は本紙記者に対し、「理論レベルでは、送配分離の研究はすでに十二分になされている。外国の経験を参考にしているだけでなく、国内の実状も考慮されている。送配分離は財務の分離や資産の分離、人事の分離にも関連しているため、国務院の上層部が強力に推進しない限り、実施することは難しい」と述べた。

 国家電力監督管理委員会の元副主席である?秉仁氏は送配分離の支持者である。彼は、「送電は自然独占環境に属しており、独立して一定の公益機能を履行させ、国が厳重な監督管理を進めるべきだ。一方、配電は参入を自由化し、多元的な競争を適用しなければならない。送配分離をしなければ、送配電の真実のコストを算定することは不可能であり、電力価格改革を進めることができない」と考えている。

 送配分離は電力改革スケジュールに盛り込まれたものの、このことは発電所と電力網の分離と、主業務と補助業務の分離が徹底的に完了したことを意味するものではない。某業界関係者は「ある面では逆行さえも生じている」と言う。

 2010年、国家電網公司は逆襲に出て、許継と平高の電力設備メーカー2社を買収したが、このことは「主業務と補助業務の分離」という考え方に悖るとして批判されている。昨年10月の主業務と補助業務の分離改革においても、この2社が国家電網公司から分離されることはなかった。「主業務と補助業務の分離」計画案に従って、国家電網と南方電網の省クラス(区域)電力網企業に所属する探査設計、火力発電所施工、水力発電所施工や建造企業等の補助業務単位を分離し、中央電力設計施工企業4社とともに再編して中国電建と中国能建の2大中央企業を組織した。

 但し、この種の改革は決して真の意味での市場化ではない。今年の全人代と全国政治協商会議の会期中、元国家能源局長の張国宝氏は本紙記者に対し、「この主業務と補助業務の分離モデルは決して理想的なものではない。これまで発電企業は多くの施工企業を対象に入札を行うことが出来たが、今では2つの企業を対象にするしかなく、競争は弱まり、新たな独占が形成された」と述べた。「発電所と電力網の分離」レベルにおいて、近年電網企業傘下の発電資産はますます膨大なものになっている。国家電網はその傘下に、火力発電と水力発電に関わる全額出資子会社として、国網新源ホールディングス、国網能源有限公司、国網新源水電有限公司の3社を有している。

 電力改革の研究に長年従事してきた専門家は、「国の政府部門は発電所と電力網の分離の成果をより一層固めるべきだ。電網企業が有する発電資産に対して徹底調査を行うことで、改革の成果が失われることを防がなければならない」との考えを示した。

 (21世紀経済報道 3月30日)