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中国
【電力】

累進電気料金は社会の公平と電力消費の抑制に有効 (12/06/11)
2012/6/14
中国【電力】

 5月上旬以降、全国29の省で民生用累進電気料金制度について相次いで公聴会が開かれ、1,000名近くが参加した。公聴手続きが終了すると、民生用累進電気料金制度は実施段階に進む。

 中国の民生用電力消費構造を見ると、上位5%の高所得家庭が電力の約24%の消費している。中国は長らく工業用電気料金と民生用電気料金の交差補助制度を実施してきたが、電気料金を低く抑える政策によって、高所得グループがより大きい恩恵を受けてきた。これは社会の公平にとって不利であるだけでなく、電力資源の浪費を助長することにもつながる。

 国家発展改革委員会の担当者によると、「より多く利用する者がより多く支払う」という累進電気料金制度は、価格を梃子にして省エネ・排出削減を促進する実践の一つでもある。電力使用量によって第1級、第2級、第3級に区分し、第3級の電気料金を大幅に引き上げることによって、社会の公平を促進すると同時に、全国民の省資源と環境保護の意識を育て、省エネ・排出削減の習慣を徐々に育成するのである。民生用累進電気料金制度の実施によって、省資源型、環境配慮型の社会を建設することも可能になる。2000年以降、中国のエネルギー消費の年平均伸び率は約8%、うち電力消費の年平均伸び率は約12%、天然ガスは約20%、石油は約7%になる。現在の消費スピードに基づいて試算すると、中国の石油残存可採年数は15年足らず、天然ガスは39年、石炭は108年である。

 一方、エネルギーの大量消費に起因する環境問題が日増しに突出しており、例えば火力発電による二酸化硫黄排出量は総排出量の42.5%を占め、二酸化炭素排出量は50%を占める。省エネ・排出削減と発展方式の転換は、中国が持続可能な発展を実現し、子孫にツケを残さないための唯一の選択になる。

 社会主義市場経済条件の下で発展方式の転換と省エネ・排出削減を促進するためには、主に経済手法に依存して、価格制度を最も重要な経済的梃子にすることが効果的である。近年の脱硫電気料金や差別電気料金の実践からもそのことは証明されている。前出の発展改革委員会担当者によると、社会全体に省エネ・排出削減のコンセンサスを形成することは、一朝一夕には行かない。民生用累進電気料金制度はその第一歩に過ぎず、また、天然ガスや水道など資源的製品も電力と同様の問題に直面している。そのため、今こそ価格を梃子として、省エネ・排出削減のコンセンサス形成の端緒としなければならない。

 (中国広播網 6月11日)