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中国
【新エネルギー】

【論説】中国の新エネルギー自動車市場が内外自動車メーカーの争奪戦の焦点に (08/02/27)
2008/2/27
中国【新エネルギー】

 エネルギー危機や環境危機の激化に伴い、米国やEUは新エネルギー自動車に対する奨励政策を2007年以降相次いで打ち出している。世界第3位の自動車生産大国である中国もまた、新エネルギー自動車奨励政策を完備しつつある。2007年11月に「新エネルギー自動車生産参入管理規則」を制定し、また、12月には「産業構造調整指導リスト」を公布して、新エネルギー自動車を発展改革委員会の奨励産業リストに入れ、消費、生産、課税、優遇措置、許認可等の面で新エネルギー自動車を支援しようとしている。

 こうした奨励政策は中国の新エネルギー自動車にとっては福音であるが、業界筋は、中国の新エネルギー自動車市場は今後内外の自動車メーカーが争奪戦を繰り広げる対象になると指摘する。中国のメーカーがこの戦いの中で生き残ろうとするなら、長期的な新エネルギー計画に従って着実に持続可能な発展を実現するしかない。

 発展改革委員会の奨励産業リストに入れられた新エネルギー自動車は、CNG、水素燃料、バイオ燃料、合成燃料、DMEやフレキシブル燃料、ハイブリッド、電動、燃料電池などの車種がある。開発可能な新エネルギー技術をほとんど網羅しており、中国の新エネルギー自動車の長期的な発展の政策基盤になる。

 長期的な発展を図るには、中国の自動車メーカーもフォードのように、短期・中期・長期に分けた新エネルギー自動車対策を策定し、段階に応じて、新エネルギー自動車の特定の分野に重点を置いた研究開発を進めなければならない。先進諸国に追いつき追い越すにはそうするしかない。なお、フォードは、在来型エンジンの改良に始まり、ハイブリッドと水素ガスエンジンの研究を進め、最終的には再生可能エネルギーによる水素ガスを採用した燃料電池技術へと発展させるという戦略を策定している。

 中国の新エネルギー自動車については、奇瑞、一汽、上汽、長安等のメーカーがハイブリッド車の開発を進めており、2008年には次々と市場に投入される。とりわけ奇瑞(チェリー)自動車のノウハウは注目に値する。発展改革委員会の奨励産業リストに指定されている新エネルギー技術の大部分は奇瑞自動車によって研究開発が進められている。奇瑞自動車は新エネルギー自動車の開発戦略をめぐって、3段階の目標を設定しており、その第1段階は、ハイブリッド車に専念する。同社初のハイブリッド乗用車であるA5 BSGは昨年6月に生産を開始し、さらにグレードが上のA5ISGも同年10月に生産を開始した。奇瑞自動車は新エネルギー車の開発においてすでに世界的な自動車メーカーに拮抗している。

 奇瑞自動車が英国のリカードと新エネルギー自動車の共同開発を開始したのは2004年であった。2006年3月にはISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)機能を備える試作車の開発に成功し、国際先進水準に躍り出た。「自動車省エネ・環境保護国家プロジェクト実験室」も奇瑞自動車に旗揚げすることになった。奇瑞自動車は今後の新エネルギー自動車開発においても主役を担うだろう。

 中国の新エネルギー分野の開発は相当の成果を上げているが、先進水準に比べると依然5年近くもの格差が存在している。中国の新エネルギー分野が市場的優越性を備えているのに対し、フォードやトヨタは技術的優越性を備えている。したがって、中国の自動車産業が新エネルギーによって先進国の水準に追いつき追い越すためには、長期的な発展の道を着実に歩まなければならない。新エネルギー自動車市場の争奪戦は開発能力の競争になるだろう。

 (経済参考報 2月27日)