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【石油・天然ガス】

CNPCとシノペックが「一帯一路」沿線に500億ドルの投資を計画 (17/05/17)
2017/5/17
中国【石油・天然ガス】

 「一帯一路」フォーラムの会期中、中国の石油中央企業2社が壮大な投資計画を発表した。5月16日、中国石油天然ガス集団(CNPC)はオフィシャルサイトにおいて、近日中に一群の石油・天然ガス協力協定を締結すると発表した。事業融資、パイプライン、ガスタンクの建設、石油・天然ガス供給や天然ガス発電など様々な分野が含まれ、中国と「一帯一路」沿線諸国との経済貿易協力を強化することが趣旨になる。

 CNPCが新たに調印した契約は主に天然ガス分野に集中している。うちアゼルバイジャン天然ガス化学事業は総額40億ドルに達する見通しである。5月15日午後、CNPCとアゼルバイジャン国営石油公社(SOCAR)は「アゼルバイジャン天然ガス化学工業事業FEED/OBCE契約」に調印した。国家開発銀行が同事業への融資に参加する。また、ロシア天然ガス大手Gazpromとの間で、地下ガス貯蔵庫の建設、天然ガス発電、LNG供給等の協力をめぐって合意文書に調印した。さらに、CNPCはウズベキスタン国営石油公社(Uzbekneftegaz)との間で、天然ガス売買契約補充協議とガス貯蔵庫協力協議に調印した。

 CNPCの王宜林董事長(会長)は取材に対し、CNPCは「一帯一路」フォーラム会期中に200億ドルの契約に結ぶと表明した。これには米国も含む国外からの石油・天然ガスの輸入拡大や、サウジアラムコと協力する雲南製油所等の事業が含まれる。

 一方、中国石油化工(SINOPEC)も5月16日、「一帯一路」協力構想を発表した。石油・天然ガス、製油、エンジニアリング、貿易の4大業務チェーンを構築し、中央アジア−ロシア、中東−北アフリカ、東南アジアの3大戦略協力区を構築する。また、従来型貿易と電子商取引の2大プラットフォームを強化し、北米と中東に2大イノベーションセンターを創設する。

 シノペック対外協力弁公室の戴立起主任はCNBCの取材に対し、シノペックは海外投資を300億ドルに増やすと表明した。これはシノペックが2010〜15年に行った海外投資額160億ドルのほぼ2倍に当たる。

 2014年に国際油価の「断崖式」下落が発生して以来、中国石油御三家は海外投資を大幅に削減し、CNPCとシノペックはこの3年、海外石油・天然ガス事業の大規模な買収を行っていない。また、Nexen買収で泥沼に陥った中国海洋石油(CNOOC)には海外事業拡大の余力はない。

 《2016年国内外石油・天然ガス産業発展報告》のデータによると、2014〜16年の中国企業の海外石油・天然ガス事業買収は主に中小企業が担い、御三家はここ3年間、海外買収を殆ど行わなかった。それ以前の年間約200億ドル以上の買収額に比べると著しい落差がある。

 しかし、国際油価の安定化に伴い、御三家の海外買収にも新たな動きが出てきた。今年2月19日、CNPCはアブダビ石油公社のADCO陸上石油事業の8%の権益を買収した。3月22日には、シノペックがシェブロンから、南アフリカのケープタウン製油所や、S/S、コンビニ、石油配送施設、南アフリカダーバンの潤滑油工場などアフリカ所在の資産を9億ドルで買収した。シノペックはここ2年、海外上流探査開発資産の整理、最適化、評価を進め、上流分野での新たな買収のチャンスを前向きに模索している。

 (財新網 5月17日)