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大唐発電傘下の2つの火力発電所が破産 中国の火力発電企業の赤字が持続的拡大も (19/07/08)
2019/7/8
中国【電力】

 大唐発電傘下の発電所が債務超過と深刻な赤字により破産を申請した。

 大唐発電の発表によると、子会社の甘粛大唐国際連城発電有限責任公司の債権者は期限が来ても借入金を返済する能力がないとして、甘粛省永登県法院(裁判所)に同公司の破産・清算を申請し、永登県法院は破産を裁定した。2018年12月31日時点で甘粛大唐国際連城発電有限責任公司の資産総額は約6.55億元、負債総額は約17.42億元で、資産負債率は約265.81%になる。収支は2.30億元の赤字。5月31日時点の甘粛大唐国際連城発電有限責任公司の資産総額は約5.94億元、負債総額は約17.73億元で、資産負債率は約298.5%。

 但し、大唐発電の子会社で破産を申請したのは甘粛大唐国際連城発電有限責任公司が初めてではない。2018年12月、大唐発電は子会社破産清算申請を公告し、子会社の大唐保定華源熱電有限責任公司の125MW設備2基が火力発電脱生産能力計画に指定されたことで2018年中に設備の閉鎖と解体を求めつつ、当該企業の資産負債状況も鑑み、董事会(取締役会)は同公司の破産清算手続きに入ることに同意した。

 2016年に石炭火力発電の脱生産能力が始まって以来、火力発電企業は基準を満たさない老朽設備の閉鎖を進めている。同時に石炭価格の回復で火力発電企業のコストは絶えず上昇し、2018年には火力発電の赤字企業の比率は50%近くになった。

 業界関係者の見方によると、石炭火力発電の脱生産能力は依然持続し、加えて新エネルギー設備が目白押しになっている中で、火力発電企業の赤字は持続的に拡大し、資産負債率が高過ぎかつ赤字続きの火力発電企業は破産と再編に直面する公算である。

 中国の火力発電産業政策の方向性はなお不変であり、基準を満たさない30万kW以下の石炭火力発電設備が主に淘汰される。また、新規火力発電設備も厳重に規制される。

 石炭価格の高騰に加え火力発電の脱生産能力等の要因で、ここ数年、火力発電企業の苦境が続いている。2017年には5大発電集団の火力発電部門の赤字は132億元に上っていた。中国電力企業聯合会が発表した『2018−2019年度全国電力需給情勢分析予測報告』によると、2018年に全国火力発電企業のほぼ50%近くが赤字を計上した。国家統計局のデータによると、この数年、電力産業の赤字企業の比率は上昇している。

 光大証券のアナリスト張旭氏によると、この数年、石炭価格の上昇が続いているが、川下の電力価格は据え置きか場合によっては引き下げられており、そのため火力発電のコストを円滑に川下に転嫁することが出来ないままである。第1に、石炭価格は2016年以降回復し、2017年以降も高止まりしている。第2に、国家発展改革委員会は企業負担を軽減するため電力価格の引き下げを主導している。第3に、火力発電の電力消費量は飽和状態にあり、設備の利用効率が低下している。

 (人民網 7月8日)