1. HOME
  2. 中国 【新エネルギー】

中国
【新エネルギー】

河北省が「水素エネルギー産業発展実施意見」を通達 産業のイノベーションと発展で機先 (19/08/21)
2019/8/21
中国【新エネルギー】

 河北省発展改革委員会等は「河北省水素エネルギー産業発展実施意見」を通達した。同実施意見は、イノベーション駆動発展戦略を徹底し、水素エネルギー産業の育成と強大化を目標に、「政策エコシステム・産業エコシステム・サービスエコシステム」の3大水素エネルギーエコシステムを速やかに構築し、全国に先駆けて河北省を水素エネルギー産業のイノベーションと発展の要地として創造するとしている。

 実施意見は次のような発展目標を明確にしている。

  • 産業規模を大幅に高める。2020年には水素エネルギーの鍵となる装備及び中核部品の自主化と量産化を基本的に実現し、水素エネルギー産業チェーンの年産高を150億元にする。2025年には中国をリードする企業を10〜15社育成し、産業チェーンの年産高を500億元にする。2030年には世界をリードするリーディングカンパニーを5〜10社育成し、一群のテクノロジー型企業のインキュベーションを進めて、全産業チェーンの研究開発力と工業化生産能力を備える。産業チェーンの年産高を2,000億元以上にする。
  • コアテクノロジーで絶え間ないブレークスルーを実現する。2022年には産業のあらゆるチェーンをカバーする技術研究開発と検査計測体系を基本的に形成する。
  • 応用領域を持続的に広げる。2022年には20軒の水素サービスステーションを建設し、燃料電池バスや物流トラックの実証運行規模を2,500台にする。

 実施意見は次の7項目の主要任務を提示し、水素エネルギー産業の質の高い発展を推進し、河北省のエネルギー転換に向けて新たな成長の極を提供するとしている。

  1. 水素製造の新技術のブレークスルーに力を入れる。張家口再生可能エネルギー実証区とグローバルエネルギーインターコネクション張家口イノベーション実証区を土台に張家口再生可能エネルギー水素製造基地を建設する。風力発電、風力・太陽光ハイブリッド発電と水素製造の一体化事業の建設を加速する。
  2. 貯蔵と輸送の難題解決に力を入れる。深冷却水素貯蔵輸送技術、70Mpa高圧車載水素貯蔵システム、大容量高圧ガス態及び低温液体ガスの貯蔵輸送技術、液体有機物水素貯蔵技術、高圧水素ガス用の特殊鋼材と耐水素脆化・耐浸透の水素輸送管材技術の研究開発を重点的に進める。
  3. 燃料電池のグレードアップに力を入れる。研究開発投資を拡大し、燃料電池スタックと分散型発電技術等の領域でブレークスルーを実現する。
  4. 水素エネルギーの応用実証の創出に力を入れる。張家口を世界クラスの水素エネルギー応用実証都市として建設し、保定を水素エネルギー産業チェーン一体化実証都市として建設する。工業企業の水素エネルギー応用実証をサポートする。水素サービスステーションの建設を前倒しで進める。
  5. 水素エネルギー産業の集中を推進する。水素エネルギー産業が空間配置と機能の面で集中するよう導き、位置づけの面では相互補完的な発展を図る。低水準の重複建設を防止する。邯鄲、張家口、保定に国内一流の水素エネルギー産業クラスターと装備製造基地を創出する。
  6. 産業イノベーション体系の構築を強化する。イノベーション研究開発プラットフォームを創造し、「双創」(大衆創業・万民創新)サービスプラットフォームを構築して、技術開発協力を強化する。
  7. 水素エネルギー産業標準の制定を導く。張家口、保定、邯鄲でのパイロット試験の展開を支援して、水素製造、水素貯蔵、水素ステーション、水素エネルギー応用等の標準を制定する。

 実施意見は支援政策を完備し、水素エネルギー産業のイノベーションと発展の新たな要地の創出に向け、次の7項目の保障措置を提示している。

  1. 組織的指導を強化する。省発展改革委員会、工業情報化庁、財政庁等の関係部門が参画する水素エネルギー産業発展の協調的な推進の仕組みを確立する。産業発展計画を策定し、重大問題の協調的な解決を図り、付帯支援政策を完備し、応用実証事業の建設を推進する。
  2. 発展環境を最適化する。水素製造、水素貯蔵、水素サービスステーションの建設及び装備製造事業は県(区)の人民政府が許認可又は届出管理を行う。高速道路の水素サービスステーションは高速道路インフラ建設改造計画へ総合的に組み込む。先進水素エネルギー事業については、優先的に省及び市の重点事業計画に指定する。
  3. パイロット試験を支援する。国からの張家口再生可能エネルギー実証区建設の加速に関する要請を実行に移し、張家口が水素エネルギーや蓄エネルギー等のクリーン・エネルギー管理体制改革実験を積極的かつ穏当に展開するよう支援する。
  4. 緊急対応能力を健全なものにする。水素エネルギーの応用を広げる中で、緊急対応能力の建設を強化し、水素エネルギーの生、貯蔵と輸送、注入並びに使用における突発的な事故に有効に対応できるようにする。
  5. 財政・租税上の支援を強化する。初期水素エネルギー装備生産企業を「河北省重点領域初期重要装備製品公告リスト」の製品投資保護総合保険に入れるともに、省クラス財政から保険費補助金を交付する。国家級の水素エネルギーテクノロジー型中小企業に認定された企業は省級テクノロジー型中小企業支援計画に優先的に盛り込み、専門資金支援を適用する。
  6. 銀行と企業の連携協力プラットフォーム構築を強化する。水素エネルギー事業に対する与信支援を拡大する。条件に適合する水素エネルギー企業の上場による資金調達を積極的に支援する。
  7. 人材隊列を育成する。対外科学技術交流協力と資本・頭脳の誘致を展開し、人材導入に各種優遇政策を適用する。省内の大学が水素エネルギー分野で専攻を設けたり、国内の著名大学と共同教育課程を実施したりするよう奨励し、もって一群の水素エネルギー技術人材を養成する。

 (中国能源網 8月21日)